社員間ボーナスで意欲引き出す 変革に憧れ学生起業ユニポス社長 斉藤知明氏(上)

ユニポスの斉藤知明社長は東京大学在学中から起業経験を持つ
ユニポスの斉藤知明社長は東京大学在学中から起業経験を持つ

働き手同士が成果を評価し合い、報酬を与え合う、「ピアボーナス」と呼ばれるサービスが大手企業の間にも広がり始めた。従来の昇給や昇進とは異なる手法で、日本の企業組織のモチベーション(やる気)向上に挑むのが、ピアボーナスの導入をサポートしているIT(情報技術)ベンチャーのユニポス(東京・港)だ。斉藤知明社長が思い描く理想のチーム像は、学生時代の起業経験にさかのぼる。

(下)ほめ合う効果、発見し事業化 自分の言葉鍛え市場開く >>

企業の規模が大きくなるほど、「同じ企業に勤めているのに、互いにどのような仕事をしているのかを知らない」という事態に陥りやすい。組織の拠点が分かれていたり、部署が多岐にわたっていたりすることも要因の一つだ。日常的にやり取りをする仲間であっても、「落ち着いて話したり、改めて感謝を伝えたりしたことはない」というケースは珍しくないだろう。

滞りがちな職場のコミュニケーションを改善するツールとして注目を集めるのが、同社が企業向けに提供する「ピアボーナス」と呼ばれるサービスだ。「ピア」とは英語で、同僚や仲間を指す言葉。「ピアボーナス」は従業員が使える一種の社内通貨で、互いの働きぶりへの「感謝の証」として機能する。

「人事担当者や上司は、一人ひとりの従業員を評価する立場でありながら、『組織の一部分』としてしか見ることができていないケースが多い。実際、大きな組織では、すべての従業員に目を行き届かせ、適切な評価を与えるのは難しいことです」。開発の背景を、斉藤氏はこう語る。

「では、従業員を一番知っているのは誰でしょうか。それは、いつも一緒に働いている人、隣で仕事をしている人です。そうであるなら、距離の近い従業員同士が、感謝や称賛の言葉をもっと気軽に送り合い、評価し合える組織をつくりたい。ユニポスは、そのやりとりを可視化するためのツールです」

仕組みはシンプルだ。ユニポスはSNS(交流サイト)を利用する感覚で従業員同士がメッセージを送り合うことができ、一人ひとりにあらかじめ、週に各400ポイントが付与される。従業員は、感謝のメッセージを1回送るごとに、最大120ポイントを相手に送れる。そのやり取りはタイムラインで別の社員たちも見ることができる。共感した他の人が「いいね!」を押す要領で「拍手」を送ることも可能だ。その場合もメッセージの送り手と受け手にポイントが送られる。

最大の特徴は、そうして得たポイントを「成果給」に換算できるところにある。レートは導入企業の裁量で決められるが、現状は1ポイント1~3円程度。1カ月に受け取るのは数百~数千円ほどだ。少額であっても、「現金支給」は強力な動機付けになる。現金支給が難しい場合、企業独自のインセンティブを設定したり、新型コロナ対策機関など従業員が支援したい非営利組織に寄付したりするような設定も可能だ。サービスの効果は認められ、2017年のサービス開始以降、メルカリやマイナビ(一部導入)などの大手企業が相次いで導入している。

そもそも斉藤氏はなぜ、「働く人」に光を当てるサービスづくりに取り組みたいと考えるようになったのか。

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