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『今日から俺は!! 劇場版』 待ってました感が満載

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日経エンタテインメント!

 2018年10月期に放送され、最終話が12.6%の高視聴率を記録した賀来賢人主演ドラマ『今日から俺は!! 』(日本テレビ系)。映画化されて『今日から俺は!!劇場版』として7月17日より公開される。西森博之の同名マンガを原作に福田雄一監督が描く今作は、80年代のツッパリ高校生たちの姿を描いた青春コメディ。勝つためなら何でもする卑怯者の三橋(賀来)と曲がったことが嫌いな伊藤(伊藤健太郎)の名コンビぶりが爆発的な人気に。幅広い世代からの支持を獲得し、近年のバディ(相棒)作品の代表格となっている。

「バディものを描くうえでの鉄則は"ギャップ"。全く違う特徴を持つ2人の力が合わさることで威力を発揮するなと思います」とは、今作のプロデュースを手掛けた高明希氏。「真っすぐな伊藤がいてこその三橋の卑怯。西森先生いわく、マンガも最初の頃は三橋が読者からすごく嫌われていたそうで。連載が増刊号から『週刊少年サンデー』本誌に移る際も編集の方から『伊藤の正義感は少年誌の王道に合う。伊藤がいるからいい』と言われたそうです。

やがて三橋自身に人気の火がついたのも、"あの伊藤が認めた男"という核が明確に描かれたから。そして三橋自身も、いざというときは『あいつは俺より強いぞ』と、はっきりと伊藤への信頼を示す。その友情模様が本当に大事だなと思ったので、ドラマでも最初の1話でしっかりと2人のバディ誕生を描きたいと考えました」(高氏、以下同)

主人公以外にもバディの宝庫

80年代の描写にこだわることでヤンキー文化をファンタジーに落とし込むことに成功した、と高氏。「それは福田さんのこだわりでもありました。見る人たちに『なんだこれ!?』って思わせるのがこのドラマの面白さだと。主役を受けてくれた賀来さんも『俺はこれがダメだったら俳優をやめる』と言い切るくらいのすごい熱量で臨んでくださって。主役がそうして没入することで他のキャストやスタッフも自然と引き上げられましたし。西森先生の笑いと福田さんの笑いのスピリットの相性の良さ、俳優たちの熱量など、全てのパーツがそろったからこそ完成した作品だったと思います」

また今作のもう1つの特徴として、高氏は「主人公だけがバディではない」ことを挙げる。

「今井(仲野太賀)と谷川(矢本悠馬)、智司(鈴木伸之)や相良(磯村勇斗)といった、三橋と伊藤に対峙する側の人々も全てペアで構成されています。その各バディがそれぞれ、様々な困難やいさかいがあるなかでも、無条件に強く信頼し合っている。原作にあったこの絆のベースラインを大切にしたことがドラマのヒットの要因ではないでしょうか」

連ドラの反響を受け、7月17日には劇場版が公開。同時期にスペシャルドラマも放送される。

「本人の前では言わないけれど裏では相棒を信頼していることを言うのが三橋。映画でもその三橋の"素直じゃない良さ"を最大限に生かしています。あとは新たなバディとして、柳楽優弥さんと栄信さんに登場していただきました。柳楽さんは一度ドラマ版に違う役で出ていただいているのですが、福田さんが『それはそれでいいじゃないですか。柳役は絶対に柳楽くんにやってほしい』と。そういう部分が通るところもこのドラマの良さですよね(笑)。連ドラを見てくれていた方は『待ってました』感が満載ですし、見ていない方にも2時間で十分に世界観を味わってもらえる作品になっています」

(ライター 松木智恵)

[日経エンタテインメント! 2020年5月号の記事を再構成]

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