日経トレンディは6月号で「20年上半期ヒット大賞&下半期ブレイク予測」という特集を組んだ。本日はその中から「日用品」分野について紹介する。
5カ月で年間販売目標を達成
「1000円前後の価格帯のボールペンとしては、かつてない売れ行き」とロフトの文房具担当者が驚きを交えて語るのが、三菱鉛筆の「ジェットストリームエッジ」だ。発売は2019年12月。そこから僅か5カ月で年間販売目標を達成する見込みだ。
油性ボールペンとして世界最小のボール径0.28ミリが特徴。「ペン先の精密な設計とインクとの最適な組み合わせにより、超極細ながらなめらかな書き味を実現した」(三菱鉛筆)。デザイン性の高さも好評で、文房具好きやガジェット好きがまず飛びついた。
さらに、最近の潮流である手帳の小型化やマス目の小さい月間手帳の利用拡大、手書きメモやノート術のブームなどもヒットを後押し。発売直後から買い求める人が殺到し、店頭では品薄状態がしばらく続いた。それが落ち着いた現在でも、ボールペン市場ではトップクラスの販売実績を重ねている。
キングジムが19年8月に発売した「ラベルプリンター『テプラ』Lite LR30」も、初年度目標3万台を半年で達成するヒット。テプラ初のスマホ専用モデルで、アプリを使って簡単にラベルが作成できる。「家庭で部屋やキッチンの整理用ラベルを作ったり、職場のデスクに置いて仕事に活用したりと、手軽な個人利用が中心」(キングジム)。アプリでラベルのデザインを編集したり、絵文字や画像を入れたりと遊び感覚でも使えることで、テプラの利用層拡大につながった。
最近のキャッシュレス決済の広がりを背景に、売れ行きを伸ばすのはミニ財布だ。「現金はほぼ使わないので大きな財布は不要」「カードをコンパクトに持ち歩きたい」といった理由から、財布の小型化が進んでいる。ロフトでは、ミニ財布の取り扱い商品・期間を拡充したところ、19年の売り上げが前年比5倍に急増。20年も勢いは続き、売れ筋の「Miniwallet」(Secrid)だけでも全店で月150個売る人気商品となっている。
変わり種ヒットは「睡眠用うどん」。ざるうどんのような見た目の掛け布団だ。19年8月に予約サイトを立ち上げると、SNSで瞬く間に話題が拡散し、僅か1日で5000人が殺到。人気は衰えず、20年4月上旬時点で受注数は2万4000個、売り上げは4億円に上り、1カ月待ちの状態だ。
夏は熱を適度に逃がして寝苦しさを軽減し、冬は毛布を1枚掛けることで暖かい空気を保持する。「布団を否定した上で商品開発を行い、布団ではできない快適性を追求した」(企画・開発するゴールデンフィールド)。斬新なアイデアが仰天のヒットを生んだ。
●【2020年上半期ヒット 大賞】超極細で人気沸騰。手帳の小型化なども背景に
ボール径0.28ミリの油性ボールペン。超極細の線がスムーズに書けるとして、1000円前後(税込み)の商品としては異例の人気を獲得。発売直後から売れまくり、一時欠品となる店舗も多く見られた。発売後の出荷ペースは既存の同価格帯製品の約3倍で、年間販売目標を5カ月で達成見込み。手帳の小型化やメモブームなどもヒットを後押しした。
●【これもヒット】売れ筋の高機能ペン
ペン先のぶれを防ぐ機構を内蔵するボールペン「ブレン」の3色版「ブレン3C」や、こすると消えるフリクションシリーズの極細版(0.4mm)も売れ行き好調だ。
●【上半期ヒット】見た目の斬新さと機能性を両立しヒット
透明な消しゴム。見た目の斬新さで発売前からSNS上で話題に。当初見込みから10倍以上の売れ行きとなり、生産が追い付かない状況に。しっかり消える機能性も確保。実勢100円前後(小・税込み)。
徐々に削れていくうちに、いろんな形状の「富士山」が現れる消しゴム。その楽しさや見た目の面白さで人気を獲得。実勢200円前後(税込み)