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画像はイメージ=PIXTA

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社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

いわゆる「発達障害」というと、子供にみられる病気と思われるかもしれませんが、大人になってから診断されることも少なくありません。発達障害には主に、注意力が散漫で、行動に落ち着きがなかったりする「注意欠陥多動性障害(ADHD)」、周囲の空気を読めずに、自らのこだわりが強い「アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害に含まれる)」、読み書きや計算などのうち、特定の能力に困難をともなう「学習障害(LD)」の3つがあります。

大人になるにつれて、こうした傾向は目立たなくなりますが、ちょっとした機会にあらわになってしまう場合があります。

あるアパレル関連企業に勤める20歳代半ばの女性の事例です。

美術系大学を卒業した後、営業職に就いて半年ほどたった会議でのことです。売上高を報告することになっていたのですが、壇上でいきなり泣き出してしまいました。よくよく話を聞くと、「何千万、何百万、何十万円という桁の数字が読めない」というのです。

数字が読めない

「数字が読めない」というのはお金だけではありませんでした。「時間」にも戸惑うことが多く、例えば「6時15分前」というのが「5時45分」だと分からないというのです。

学習障害は知的な発達に遅れがなく、読字、書字、算数、計算など特定の能力にのみ障害があり、他の能力は正常です。前述の女性は学習障害の中でも計算障害の典型的なケースといえと思います。ただ、学習障害は決して珍しい病気ではなく、文字が読めない「読字障害(ディスレクシア)」を明らかにしている米国の有名俳優もいます。

今回の事例で紹介した女性も「以前から、自分は数字が読めない認識があった」と話していました。進学や就職で、さぞや苦労されたことと思います。だからこそ、周りにも自らの病気を打ち明けられなかったのではないでしょうか。

幸いこの女性は休職することもなく、会社の理解もあって、数字を取り扱うことの少ないデザイン関係の職場に配置換えとなり、いまも元気に働いているそうです。

大人の発達障害でよく見られるのが、ADHDです。

職場でのトラブルの典型的な例が、与えられた仕事をそのまま放置してまうというものです。決して仕事を処理する能力に欠けているのではなく、幾つもの仕事を順序立てて処理するのが苦手、途中までやっていた仕事を忘れてしまう、というのが実情のようです。

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