その上で、社内の様々な部署に体験的に配属されます。あるメーカーでは、製造、物流、研究開発、営業、管理など、それぞれの部署をすべて数日ずつだけでも経験させたりします。これらはOJT(On the Job Training)の一環として、実際の配属後にも継続されます。

このような取り組みは、知識やスキルを習得させ、行動として実践させることで成果につなげようというフレームワークに基づいています。

研修なしでの現場配属に全員が混乱している

しかしソーシャルディスタンスが求められる現状で、これらの実施が難しくなっています。

座学については、研修用の部屋を十分に広く取れない会社では、そもそも開催ができなくなってしまいました。オンライン形式の講義に切り替えている例もありますが、社内の管理職を講師にしている場合など、講義する側も慣れていないため、結果として昔ながらの一方通行の講義になってしまっています。

現場研修も、リモートワークが推進されている事務系や営業系はいずれも配属すらできません。製造系や物流系にしても、密接な指導ができない現状では配属されても足手まといなだけだと敬遠されてしまいます。

そして本来なら5月半ばから6月初旬だったはずの配属が、4月半ばに前倒しされる場合すらありました。

なんとかマナーと社内ルールだけ教え込んだので、あとは現場にお願い、という状態です。

おそらく今年1年間は、現場のリーダーたちも、配属された新人たちも混乱せざるを得ないことでしょう。

評価者研修や新任管理職研修も延期

同じように延期されている研修に、管理職向けのものがあります。

多くの日本企業は、新人研修が手厚いことで有名ではありますが、実はそれ以外の研修があまり実施されないことでも有名です。一度配属された従業員は、現場で自分自身の力で学ぶように指導されることが多かったのです。またスキルを覚えるよりは、会社の一員としてなじむことを優先してきた、メンバーシップ型の組織風土も影響しています。

ただし近年、新任管理職に対する研修だけは充実しつつあります。

それは組織を実際に動かしていくのが管理職だからです。環境変化に合わせて策定された事業戦略を現場に落とし込み、達成に向けてチームを率いていくことこそが管理職の仕事です。

だからそんな管理職に対して、マネジメント力向上としてリーダーシップ研修や課題解決研修などを実施するのです。そうすることで、チームに属している部下たちの成長も実現しようとする試みなのです。

しかし、その管理職研修も延期されています。

特に新任の管理職に対して実施する総合的な研修や、人事評価者になることで習得しなければいけない、評価者向けのスキル研修も延期されてしまっているのです。

結果として、チームに属する従業員ひとりひとりが、なにをすれば認められ評価されるのかがわかりづらくなってしまうことが増えているのです。

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研修と逆のフレームワークで行動を学んでゆく
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