『有吉の壁』 19時台にお笑い番組が久々に登場した訳

『有吉の壁』 ロケ先は商業施設や大学など様々。「芸人さんは敷地内の池に飛び込んだりと無茶をするんですが、広報さんに1人はお笑い好きな方がいて、最近では相談に乗ってもらいやすくなりました」(橋本氏)。第2回からアシスタントを務める佐藤栞里(前列左端)は、どんな状況にも引くことなく芸人を見守る。Huluでは芸人たちの反省会なども配信中(日本テレビ系/水曜19時)

レジャー施設や遊園地などのロケ先で、大勢の芸人たちがあの手この手でMCの有吉弘行を笑わせようと奮闘する日本テレビ系の『有吉の壁』。5年間で深夜を中心に13回の特番が放送されてきたが、この4月からゴールデンタイムでレギュラーとなった。

番組が生まれた2015年は情報バラエティが主流。企画・演出の橋本和明氏は『有吉ゼミ』(2013年~)も担当しており、「そろそろお笑いを盛り上げたいですね」と有吉と話したことから、この番組を企画したと話す。「有吉さんは、芸人さんがどうすれば1番輝くかを判断してくれる方。笑うときは大笑いするし、厳しくツッコんだほうが面白くなりそうなときはあえてそうするし。その姿勢と、“乗り越えるべき壁”という抽象的なコンセプトが折り合ったらどうなるかと考えました」(橋本氏、以下同)。

番組の軸となる企画に、ベンチや噴水など、ロケをしている場所を生かして、目撃したら笑ってしまうような人になりきる「一般人の壁」がある。これは、コントをやりたい気持ちから生まれた企画だという。「セットを組んでも数分でネタが終わってしまうなど、コントは予算が大変なんです。でも、僕は1990年代後半の『笑う犬』シリーズや『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』などを見てきた世代で、コントが大好き。ロケだったらシチュエーションがセットの代わりになるんじゃないかということで、今の形になりました」。

大切にしているのは、芸人の持つポテンシャルを生かすこと。各芸人にディレクターが付き、アイデアを一緒に出したりはするが、芸人からの提案を第一に考える。「今はSNSも含めて、自分でプロデュースしなきゃいけない側面が多いので、自分たちの笑いをどう見せようか、日々考えているんですよね。こちらが指示するのではなく、彼らの意思に乗ったほうが、うまくいくと思ってます」。

その良さがよく出ているのが、モノマネを披露する「なりきりの壁」だ。尾形貴弘(パンサー)のSAMや、相田周二(三四郎)の上白石萌音、とにかく明るい安村のキャシー中島など、誰も想像できない抱腹絶倒のネタが続々と誕生している。「みなさんとんでもない引き出しを開けてくるので、『なぜそれを?』というもののオンパレードなんです(笑)」。

シソンヌやジャングルポケットら常連組に加え、新顔や中堅芸人も積極的に起用していくとのこと。

20代が中心の「第7世代」芸人の台頭で、昨年からお笑い界が盛り上がり始めた。そして、午後7時台にお笑い番組が登場するのは、久々になる。「お笑いをもう1度テレビで」という信念を貫き、特番と変えないスタイルで走るという。

(日経エンタテインメント!5月号の記事を再構成 文/内藤悦子)

[日経MJ2020年5月15日付]

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