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密な職場は解消するのか 緊急事態後のオフィスの姿

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ナショナルジオグラフィック日本版

新型コロナウイルスの影響で閉鎖となった職場をどのように再開させるか、様々な議論がなされているが、これを機にオープンなオフィスレイアウトが時代遅れになるかもしれない。間仕切りのない空間に人がひしめき合うオープンオフィスでは、気が散る、煩わしい、などの不満に加えて、今や健康被害への危険性が高まっているからだ。

「(新型コロナウイルスの集団感染)以前にも、おしゃべりな同僚から少し離れたくて、角のデスクへの移動を申請したことがあります」。そう話すのは、米テキサス州の保険代理店に勤めるエイラ・ラリック氏だ。テキサス州で不要不急ビジネスの再開が可能となるのに伴い、2020年5月1日から再びオフィスへ出勤することになった。

しかし、ぜん息を抱え、新型コロナウイルス感染症にかかれば重症化するリスクが高いラリック氏は、リモートワークの延長を申請した。「パソコンに向かっている間、ずっと3人の同僚から2メートル未満の距離にいることになるので、戻るのは少し心配です」(ラリック氏)。

企業は職場環境をどうするべきか、考え始めたばかりだ。オープンオフィスであってもパーソナルスペースを考慮し、掃除の頻度を上げればよいだろうと言う意見もあるが、中には今回のパンデミック(世界的な大流行)でオープンオフィスは完全に終焉を迎えるだろう、と話す専門家もいる。

「ざっくり言うとオープンオフィスは終わり、ということなのですが、それが意味することは様々です」。そう話すのは、ウーバーやネットフリックスを顧客に抱えるオフィスインテリアデザイン事務所、ノーテルの最高経営責任者(CEO)であるアモル・サルバ氏だ。長い目で見ると、職場のレイアウトの問題だけではなく、私たちがなじんできたオフィスライフそのものが劇的に変化する、とサルバ氏は言うのだ。

より良い職場環境とは

オープンオフィスを最初に流行らせたのは、20世紀初頭の建築家、フランク・ロイド・ライトだ。オフィスの壁を取り払うことで社会的な壁も取り払われ、職場が民主化するはずと考えたのだ。流行のデザインであり、かつ予算を抑えられるため、オープンオフィスというスタイルは普及した。80年経った今も、デザイナーや建築家たちは、オープンなレイアウトにすることで従業員同士が協力しやすくなると、似たような利点を挙げる。

今日、オープンオフィスに関する共通の定義はないが、一般的にはパーテーションでスペースを区切る「キュービクル」と区別され、従業員同士の間にごく小さな仕切りがあるか、仕切りがまったくない状態を言う。

2008年のリーマン・ショック後、オフィス勤務の仕事が増加し、オープンなレイアウトは費用を抑える方法としてますます人気となった。自然光とデスク間のスペースを重視したライトの本来のコンセプトとは異なり、現代では小さなスペースに人をぎゅうぎゅう詰めにするためにオープンオフィスが採用されることが多い。結果、従業員の集中力は低下した。

英国王立協会が2018年に発表した研究では、職場をオープンなレイアウトにした時の従業員の行動変化が調査された。様々な場面で、面と向かったコミュニケーションは70%減少し、デジタルなやりとりが増加することが示された。他の人の迷惑になることや話を聞かれてしまうことを心配して、従業員たちは「社会的に引きこもり」始めたからだという。また、同年に発表された別の研究では、感染への恐怖から、混みあった場所により強い心理的ストレスを感じることが示された。

「個人的には、この街に来たばかりだったので、コワーキングスペースにいるのは好きでした。人との出会いや触れ合いの機会がありますので」。そう話すのは、ウィーワーク社が運営するコワーキングスペースにオフィスを構えるIFLサイエンスのレポーター、マディソン・ダプチェヴィッチ氏だ。しかし、ダプチェヴィッチ氏の会社では1月以来リモートワークとなっており、今となっては感染のリスクがある共有スペースに戻ることは心配だと言う。

職場に潜む、感染のリスク

韓国疾病管理センターが最近発表した調査では、人が密集したオフィスではいかに新型コロナウイルスが広まりやすいかが示された。216人が勤務していたコールセンターの1フロアにおいて、94人が検査で陽性と判明したのだ。このアウトブレイクは20年2月21日に始まり、16日間かけて起こったと考えられ、また、感染者の90%以上がオフィスの中でも特に人が密集するエリアに集中していた。

「人と人の間の距離を空け、合わせて適度な換気と殺菌をしていれば、それなりに安全な空間にすることができるはずです」。米メリーランド大学の感染の専門家、ドナルド・ミルトン氏はそう話す。

パーテーションは咳が向こう側に飛ぶことを防ぐことはできるが、感染力のある飛沫がパーテーションの内側にとどまり、そのスペースに入ってきた人が触れてしまう可能性がある、と同氏は言う。4月初めに発表されたマサチューセッツ工科大学の研究によると、くしゃみによって感染力のある飛沫が現在の社会的距離のガイドラインよりもはるかに大きく、最大8メートルも飛ぶことがあるとされている。

また、コーヒーポットやドアノブなども感染拡大に一役買っている。「New England Journal of Medicine」誌に発表された最近の研究によれば、新型コロナウイルスはプラスチックなどの表面で3日間、感染力を保つことがあるという。

「健康的」な建物を目指して

オフィス内ではデスクの配置に加え、人が移動するスペースについても注意が必要だ。「エレベーターを利用する時にはどうすればいいでしょう? 廊下や通路では?」と、建築事務所パーキン+ウィルで商業デザインおよび企業デザインを行うジョー・コネル氏は尋ねる。

こうした接触の機会を減らすため、雇用者側は時差出勤、往来の制限、エレベーターの待ち場所、体温チェックなどの対策を検討している。ウィーワークでは、提供するコワーキングスペースのラウンジや会議室内の席数を減らし、廊下を一方通行にしたうえ、60万人という顧客に対して距離に関するガイドラインを示す予定だと言う。また、サルバ氏によれば、顧客であるウーバーはサンフランシスコ市内のオフィスでの勤務を再開させる予定だが、1日のうちに建物に入れるのは従業員全体の20%のみとする予定だという。

多くの専門家が、この新型コロナウイルスのパンデミックを機に、オフィス環境全体が従業員にとってより健康的なものになることを期待している。結局のところ、新型コロナウイルスのアウトトブレイクによる自宅隔離生活が始まる前から、ほとんどの米国人は自分たちの時間の90%を屋内で過ごしていたのだ。「私たちはインドアな動物なのです」と、ハーバード大学の「健康建築物プログラム」を率いるジョー・アレン氏は話す。

企業が従業員の健康のためにできることとして、掃除の頻度を上げる、ウイルスの不活性化が期待される紫外線照射機器を使用する、エアフィルターを設置する、自動ドアや自動水栓付きの洗面台など非接触テクノロジーを取り入れることなどがあげられる。アレン氏によれば、人が本当に生産的であるためにはさらに、十分なパーソナルスペース、自然光、そして集中できるくらいの静かさが必要だという。

パンデミックが落ち着いても、多くの企業にはオフィスを改装する資金的余裕がないため、オフィス勤務そのものを控えさせる企業も出てくるだろう。米シカゴ大学の調査によれば、米国の37%の仕事はリモートで行うことができる可能性がある。

それでも、実際に集まったり共同で仕事をしたりするための中心的な場所は、ほとんどのビジネスにおいて必要となるだろう。また、オープンオフィスが存続するとしても、イワシの缶詰のように人が詰め込まれたスペースには厳しい目が向けられるはずだ。従業員にとっては、スペースが増え自由度が高まるようなレイアウトの変更につながるかもしれない。

「人々が建物に対して期待するものは変わっていくでしょう」とアレン氏は言う。「次にオフィスへ行った時には、私たちのオフィスに対する考え方は変わっているはずです」

(文 SARAH GIBBENS、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年5月10日付の記事を再構成]

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