居場所は学校の外 カタリバや「異能支援」が転機生む日本の高校生はどこへ(中)

子どもにとって学校生活は日常そのものだが(写真はイメージ)=PIXTA
子どもにとって学校生活は日常そのものだが(写真はイメージ)=PIXTA

高校生は学校のあり方や周囲の環境をどう受け止め、対応しているのか。日本の高校生が向かう先を考える連載の2回目は、学校の外に「自分の基地」をみつけた生徒の思いにふれる。

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6歳になれば小学校に入り、大多数が高校まで進学する。学校生活は子どもの日常そのものだ。しかし、その学校になじめなかったら、どうしたらいいのだろう。別の居場所に救われたという2人に会った。

理学療法を学ぶため2020年4月に順天堂大学に進学した男性Aさん。「小児のリハビリを専門にしたい。医師とは異なるアプローチで子どもを助けられる人になりたい」と将来の夢を語るが、過去の学校生活ではつらい思いをした。中学受験で合格を果たし、高校卒業まで過ごした東京都内の私立中高一貫校には最後までなじめなかった。

「いじめ」受け退部、それでも

中学に入学後、吹奏楽部に入った。「裕福な家庭に育ち、小さいときからピアノやバイオリンを習っていて、音楽の素養がある子がたくさんいた」。サックスを担当したが、初心者でもあり、なかなか経験者との差が縮まらない。演奏したい音楽が部の方向性とちょっとずれていたことも、小さなボタンの掛け違いとなった。だんだんいじめに発展し、部活以外の時間でも、いやがらせを受けるようになる。部活は中2の9月でやめた。

吹奏楽部をやめてもサックスは手放せなかった

それでもサックスの魅力に、はまりつつあった。どこかで演奏したい。ネット検索し、最初にヒットしたのが、東京都文京区が中高生に開放していたスペース「b-lab」(ビーラボ)だった。ちょうど区のイベントで演奏するジャズオーケストラを結成するため、団員の募集をかけていた。

ビーラボは放課後の「居場所」だ。認定NPO法人カタリバ(東京・杉並)が参画して15年4月にオープン。カタリバは、10代の子どもたちの居場所作りやキャリア学習支援などを手がけている。タテ(親子)でもヨコ(同級生)でもないナナメの関係を大切にするのが特徴だ。

Aさんはジャズオーケストラに加わり、ビーラボで公演に向けた練習を始めた。気づけば学校帰りにビーラボに直行し、音楽室でサックスを吹き、職員や友達としゃべるのが日常になっていた。自分でメンバーを集め、その仲間の通う他の高校の文化祭など外のイベントで演奏するようにもなった。

家や学校とは違う居場所を「サードプレイス」と呼ぶが、週5~6日はビーラボに通っていたAさんは「もはやセカンドプレイスかもしれないな」と話す。そこにいた生徒の顔ぶれは、学校の偏差値だけをみても上から下まで様々。「いろんな違う考え方をもった人が集まって、わいわい場を作る。友達の幅が広がりました」。

あのままビーラボに出会わず、部活を続けていたら、と今も時々考える。「学校は絶対に辞めずに卒業してやるって思っていた」ものの「引きこもりになっていたかもしれない」と振り返る。

ビーラボ開設当時から20年春まで館長を務めた白田好彦さんは、Aさんを「意志が強く、やりたいことを主張できる子」と感じていた。「子どもは本当はもっとたくさん人に迷惑をかけていいはずだ。でも、そういう場がないから、チャレンジせずに空気を読む子が増えてしまう」。白田さんの実感だ。

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