日経Gooday

答えと解説

正解は、(5)5時間です。

「飲酒運転はNG」なのは言うまでもありません。車を運転するのは、体内でアルコールが分解され、アルコールが抜けた後です。それには、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。

政府広報オンラインの情報では、個人差があり、さらに時間を要する場合もあると補足しつつも、「アルコール20g(1単位)を分解処理するのに約4時間を要する」(体重60kgの標準的な成人男子の場合)とあります(詳しくは「政府広報オンライン」を参照 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/1.html)。この他にも「1単位当たり3~4時間」といった説明も散見されます。

「飲酒後、○時間以内の運転は禁止」などという指標があれば極めてシンプルですが、飲んだ量によって酔いの度合いは変わりますから、酒量(=アルコール量)に従って変わることになります。

医学的な見地から見るとどうなのでしょう。久里浜医療センターの院長で、アルコール問題全般に詳しい樋口進さんに、何時間経ったら運転していいかを聞いたところ、こう説明してくれました。

「医学的な見地から言うと、体内におけるアルコールの分解速度は1時間に4gと捉えてください。これは日本アルコール関連問題学会などのアルコール薬物関連の2学会が飲酒運転を予防するために提示しているデータです」(樋口さん)

「日本酒を例にとると、1合(アルコール20g)を分解するのに要する時間は5時間になります。この2倍飲めば、10時間といった具合に、時間とほぼ比例すると考えてください」(樋口さん)


飲酒後は、「飲酒量(g) ÷ 4」時間以上待ってから運転する

1合5時間というと、3合飲んだら15時間、4合飲んだら20時間ということになります。つまり、飲み過ぎたら、翌日の運転は事実上ダメということになります。

樋口さんは「アルコールの代謝には男女差、個人差があります。久里浜医療センターでの実験結果では、男性の場合1時間に9g、女性で6.5g程度です。代謝が速い男性の場合は1時間に13gも分解できる人がいる一方で、1時間に3g程度という女性もいます。こうしたばらつきも配慮して、老若男女のさまざまな人に適用される基準として、1時間当たり4gが適切と判断したわけです」と説明します。

「厳しいように思われるかもしれませんが、そのくらいの感覚で運転に臨んでほしいということです。また、体内からアルコールが抜けた後、つまりゼロになった後も、運転技量に影響があるという報告もあります」(樋口さん)

仮眠したほうがお酒が抜けない!

アルコールの分解の速さに個人差があるのは多くの人が実感されているでしょう。樋口さんは、「アルコールが体から消える速度は個人差が大きく、最も速い人と遅い人では4~5倍程度の差になります」と話します。この要素には下の図にあるようにさまざまな要素が関係していますが、「最も大きな要因は、肝臓の大きさや筋肉量と考えられている」(樋口さん)そうです

アルコールが体から抜ける時間は個人差、状態による差がある

このほか、「覚醒時より睡眠時、食後より空腹時のほうが消失速度が遅くなります」と樋口さん。読者の中には、お酒を飲んだ後、「仮眠すれば大丈夫」と思っている方も少なくないと思いますが、実は睡眠によってアルコールの分解は加速するのではなく、遅れてしまうのです。

久里浜医療センターは札幌医科大学との共同研究で、飲酒後に睡眠をとると、アルコールの分解が遅れることを確認しています。20代の男女計24人を対象に、体重1kg当たり0.75gのアルコール(体重60kgの人でアルコール45g=ビール約1Lに相当)を摂取し、4時間眠ったグループと4時間眠らずにいたグループの呼気中のアルコール濃度を調べたところ、眠ったグループの呼気中のアルコール濃度は眠らずにいたグループの約2倍となりました。

こうした結果になった理由として、睡眠時にはアルコールを吸収する腸の働き、そしてアルコールを分解する肝臓の働きが弱まることが影響していると考えられるそうです。樋口さんは、「飲酒後に『仮眠を取ったから大丈夫』と考えるのは危険です。飲酒後、十分な時間を取れないなら運転してはいけません」と話します。

[日経Gooday2020年4月13日付記事を再構成]

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