日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/5/22

特異な脊椎はヨロイジネズミだけではない

ヨロイジネズミの適応は「間違いなくユニーク」だが、ライフスタイルに合わせて脊椎構造を劇的に進化させた動物は他にもたくさんいる、とバラク氏は言う。

ちょっと背筋を伸ばしてみよう。人間は成長するのに従って、脊椎の基部(骨盤の中央)にある5個の椎骨が癒合して、仙骨と呼ばれる骨になる。我々の直立姿勢を支えるこうした癒合は、ヨロイジネズミの絡み合った椎骨よりもさらに極端な例とさえ言えるかもしれない、とバラク氏は話す。

ほぼすべての哺乳類の首には、7個の椎骨がある。しかし、ナマケモノやマナティーなど、いくつかの動きの遅い種では、それよりも少なかったり多かったりする。ほとんどじっとしているライフスタイルでは、首の可動性が小さくてすむためだと考えられる。

他にはアシカもいる。

「アシカの首は、本当に凄いです」と米フロリダ・アトランティック大学の博士課程の学生で生理学者のダニエル・イングル氏は言う。「通常は動きを制限する椎骨間の連結が、アシカの首にはないのです」と同氏は話す。このため、首の柔軟性が向上し、より効率的に泳ぐことができるという。

ヨロイジネズミのとてつもない脊椎に、我々はまだ困惑しているが、コンゴ盆地のマンベツ族も同様に、ヨロイジネズミに興味をそそられたようだ。

「伝承は他にもあります」とスミス氏は語った。「ヨロイジネズミの死骸を焼き、戦いの際に携行したとあります。そうすれば無敵になれると、彼らは考えたのです」

(文 JASON BITTEL、訳=牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年5月2日付]