35歳が老後に受け取る年金額は 正しく知って準備する『35歳から創る自分の年金』

成長率をマイナス0.5%、労働力人口を5460万人と最も少なめに見込む「衰退シナリオ」ならどうでしょうか。その場合でも、50年度の現役男性の平均年収は19年度現在より16%増の600万円弱にまで上昇しています。しかしながら年金額は現行より少ない水準になります。その理由を著者は次のように説明します。

 しかし、これは「年金受給者1人あたりの保険料を払う人の割合」の減少を補いきれず、年金額は現在より大きく減ることになります。当面は積立金の運用益の取り崩しを増やして年金額を支えることになりますが、それでも平均年収の伸び悩みを埋め合わせるには足りません。
 衰退シナリオの2050年度のモデル世帯の年金額は、今より14.7%減少し、227万円となっています。
 さらに恐ろしいことに、衰退シナリオの下では、私たちが年金をもらい始める2年後の2052年度に国民年金の積立金が枯渇する見込みとなっています。
(第2章 「自分の年金」の金額はどのようにして決まるのか 77~78ページ)

その場合でも年金制度自体が破綻するわけではありません。50年度から比べると2割ほど減りますが、53年度以降も184万円となる見込みです。月額にすると15.3万円。住宅ローンを返しきって家賃負担がなければなんとか夫婦で最低限の暮らしはできそうな金額です。

夫婦2人で働き続けるメリット

第3章と第4章では、読者の生き方に対応した年金の「各論」に入っていきます。独身か共働きか、あるいは正社員か自営業かフリーランスかなど、自身のキャリアや生き方の選択次第で「どう年金と付き合えばよいか」「年金の受取額はどうなるか」を詳しく解説していきます。

多くの人が直面する選択肢の一つが、子どもの出産に伴って、妻の働き方をどう変えるかです。「育児休暇を活用して正社員として仕事を続ける」「より拘束時間の少ないパートや派遣に転職する」「いったん仕事をやめて育児と家事に専念する」などの選択肢があるでしょう。また、夫の方も「育児休暇などを活用し育児に積極的に関わる」とか「転勤がない」「残業が少ない」といった条件の会社に移るなどの考え方がありえます。著者は自分の経験も踏まえて、こうした場合に夫婦お互いが話し合って「2人で働き続ける道」を選んだほうが良いとアドバイスしています。

 夫が家事・育児のために早く退社することについて、残業代が減ったり、評価に響いたりすることを心配するかもしれません。ですが、家事・育児を全て妻任せにすることもリスクがあります。
 やりたい仕事ができなかったり、自分の時間が取れなかったりすることは、妻にとっても大きなストレスになります。もし妻がそれに耐えきれず、両立するための妻の心が折れてしまったら、不本意ながら、妻は仕事を辞めることになるでしょう。もしそうなれば、家計の面でも1人分の収入がばったりとなくなってしまいます。
 家族の幸せを考えたとき、どちらの方がよりリスクが高いかというと、私は後者だと思います。たとえ多少夫の収入が下がったり昇進が遅れたりしても、2人で働き続ける道を選んだ方がよいのではないでしょうか。
(第3章 「共働き」で創る自分たちの年金 130ページ)
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