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イケア・ジャパン社長 ヘレン・フォン・ライス氏

イケア・ジャパン社長 ヘレン・フォン・ライス氏

スウェーデンの家具小売り世界最大手、イケアグループの日本法人イケア・ジャパン(千葉県船橋市)を率いるヘレン・フォン・ライス社長。イケアは北欧風のシンプルな商品を、SPA(製造小売り)で手ごろに供給するビジネスモデルで成長を遂げてきた。だが、足元は新型コロナウイルスの影響もあり、今後の日本事業の見通しを立てにくく、不安を感じる従業員もいるという。この状況を乗り切るために、ライス氏は「リーダーとして自信を持って、事実を話すことが大事だ」とトップの心構えを説く。

(下)文化違えば間違いは当たり前 ビジョン・情熱を伝える >>

――リーダーにとって大切なことは何でしょう。

「たくさんあります。まずはオーセンティシティー、つまり自分らしさを持つこと、真摯であることです。それに、信念を持つことも挙げられます。信念を持つことで、従業員など他者を刺激できるし、モチベーションを向上させることもできます。そして、新型コロナウイルスという未曽有の危機に直面している今こそ、透明性が重要になります。会社が大変な状況に立っていると従業員に話すときでも、自信を持って全てを打ち明けることが大切なのです。とにかく頻繁にコミュニケーションをとることがカギだと考えています」

IQとEQ、今はどちらが必要か

――そう考えるようになったきっかけはありますか。

「まさにコロナによる足元の状況がきっかけとなりました。『お客さんに会うのが怖い』『出社するのが怖い』という従業員が実際に出てきています。社長としての私の役割はまず、管理職に自信を持ってもらうことです。そして従業員としっかり話してもらうよう促しています。イケア・ジャパンは毎週、従業員向けにニュースレターを送っていますし、従業員と私が対談しているビデオ映像も配信しています。IQ(知能指数)と、心のIQと呼ばれるEQ(感情指数)の、どちらがこの状況で必要なのかを考えて行動しています。管理職やリーダーにも、怖い気持ちはあるはずです。それでも、マイナスの感情に負けずに、しっかり事実を伝えることが大切なのです。トップが進んで事実を公表することが従業員や社会からの信頼にもつながると信じています」

――イケアならではの取り組みなのですか。

「イケアグループでは連帯感、正直であること、間違いを受け入れること、の3つを世界共通の価値観として掲げています。イケアの創業者は『間違いはアクションをする人の特権だ。間違いからしっかり学ぶこと、次から改善すること』と話していました。イケアは『人を大事にする会社』を目指していて、社長や部長といった役職者が従業員を引っ張るのではなく、一緒に何かを創り出そう、という文化があります。『こういう仕事をしなさい』と指示するだけでは、人は動きません。トップが一方的に話し続けるのは理想的な会社とは言えませんし、特にストレスを抱えている従業員は耳を貸そうとしないでしょう。話すことと聞くこと、指示の3つのバランスが大事なのです。事実や信念を丁寧に話す。しっかり相手の言うことを聞く。次の行動を的確にアドバイスする。これがリーダーの役割だと考えています」

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