検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

がんになった医師が警鐘 要精密検査の先延ばしは危険

川崎幸病院 放射線治療科部長、放射線治療センター長 加藤大基さん

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

日経トレンディ

放射線治療医として多くのがん患者に寄り添ってきた加藤大基氏が自身の胸部にがんを発見したのは34歳のとき。原発性肺がんのステージIAだった。

──ずいぶん若くして、がんにかかられたのですね。

健康診断のつもりで胸部レントゲンを撮ったら、左胸部に1cm強の円い影が写っていました。当時は、手術に胸腔鏡が少しずつ取り入れられてきた時期。見つかった病変は気管支鏡が届かない肺の抹消にあったので、最初は胸腔鏡で小さく取って、良性ならそのまま、悪性なら開胸して手術しようということにしました。だから、悪性腫瘍(がん)であることが確定したのは手術の後。自分より若いがん患者さんを診たこともありましたので、頭ではあり得ないことではないと知っていたはずなのに、"まさか自分がこの年齢でがんになるとは"と思いましたね。当時、家族にがんになった人はおらず、自分としては激務のストレスも関与したのではないかと思いました。たばこを吸うのはリスクを高めますが、吸わないから肺がんにならないということはない。肺がんの半数は喫煙とは関連が薄い腺がんですし、非喫煙者の私がかかったのも腺がんです。

──仕事への復帰は順調でしたか。

合併症なども無く、術後3週間で職場に復帰できました。周囲には自分の病状を話し、周りの医師にも協力してもらいました。がんとひとくちに言っても、発症した部位やがんの顔つき、ステージなどによって全く別のものです。私の場合は根治を目指せる状態で見つかったので、手術の後はしっかり定期検診を受けるようにして、再発についてはあまり考えないようにしていました。どんな名医でも再発するかどうかは分からないから、定期的に見ていくしかないと思っていました。

──肺がんは胸部レントゲンで早期発見できるのでしょうか。他にも有効な検診はありますか。

胸部レントゲン以外でできるとすれば、低線量CTですね。レントゲン写真は厚さのある胸部を一枚の画像に閉じ込めるので、心臓や骨の陰に腫瘍が隠れてしまうこともあります。一方、CTは多くの画像から診断できる。喫煙者であれば、オプションとして低線量CTを受けるのは有効だと思います。吸わない人でも、受動喫煙の不安がある人にとっては選択肢の一つですね。ただ、CTは診断に時間がかかります。今後、AIなどがもっと活用されていく必要があるでしょう。

──肺がん以外はどうですか。

胃がんの場合は内視鏡の有効性が認められ、自治体によっては、バリウム検査(胃透視検査)か胃カメラ(内視鏡検査)かを選択できる所もあります。個人的には、内視鏡でのぞくと胃の表面をよく見ることができるので良いと思いますが、がんのでき方によってはバリウムでしか分からない場合もあります。どちらかが100%優れているわけではないですが、内視鏡という選択肢も有効であると思います。

がん検診を受ける人に伝えたいこと

──がん検診を受ける患者側に、先生が伝えたいことはありますか。

検診をしっかり受けることも大事ですが、「要精密検査」になったとき、再検査の受診率が非常に低いことも問題になっています。大腸がん検診で便の潜血が出ても、「痔だと思っていた」と放置していて、進行がんが悪化して来院される方もいます。偽陽性で空振りという場合もありますが、社会復帰を考えれば、早期発見して負担の少ない治療で回復するのが大事。精密検査は必ず、そしてなるべく早く受けるべきですね。

──自分自身ががんになって気付いたことはありますか。

自分でも驚いたのは、がんになったことに対する罪悪感のような気持ちが湧き起こるということです。当時、家族は両親しかいませんでしたが、親に対して「申し訳ない」というような気持ちになりました。また、「がん」という言葉はネガティブな表現として使われていることにも気付きました。例えば雑誌の記事などで病名ではなく、「社会のがん」といった表現を見るとドキッとします。自分が責められたような気持ちがするんでしょうね。それは自分ががん患者になって初めて気付きました。だから患者さんに説明するときも、「がん」という言葉は必要最低限に抑え、「腫瘍」や「悪性腫瘍」といった表現を使うようにしています。

──がんの治療に関しては、加藤先生が受けた頃と変わってきていますか。

最近は、がんでも7割近くが治る時代です。私がかかった15年ほど前は5割程度でした。肺がんや乳がんの治療では、正常な細胞をがん化に導く遺伝子変異が多く見つかっていて、その働きを阻害する「分子標的薬」の開発が進んでいます。

今、分子標的薬は第1世代から第3世代まで進んでいます。特に私のかかった腺がんは細分化が進んでいて、遺伝子変異をターゲットにした薬がたくさん開発されています。さらに最近はノーベル賞受賞でも注目されたオプジーボのような「免疫チェックポイント阻害薬」が登場してきた。このため肺がんのステージ3、4期の治療はこの十数年で全く別物になってきています。

──がんの先進医療にはお金がかかるというイメージがありますが。

心配される方もいますが、今は多くの治療薬が保険適用になっています。以前は「ドラッグラグ」といって欧米で使える薬が日本では認可されていないというケースもありましたが、承認が非常に早くなっているのでタイムラグはほとんどありません。最新の治療薬でも、健康保険でカバーできるものがほとんどです。

──治療がそれだけ日進月歩なのであれば、患者側はどうやって情報収集すればいいのでしょうか?

2000年代前半から、がん治療のガイドラインが作成されるようになりました。これは私が医師になった1999年には無かったもの。医療者向けのガイドラインは書店で誰でも購入できますし、胃がんや乳がんであれば、患者さん向けに解説した治療ガイドラインも出ています。ネットの情報でも、国立がん研究センターのウェブサイトなどは情報がしっかりしているのでお薦めです。患者さん自身もガイドラインを読んで正しい知識を持つことが大切だと思います。

買い物をするとき、セールスマンの言いなりで買う人はいませんよね。治療も医師の言いなりになるのではなく、まずは自分で正しい知識を調べ、検査の結果や医師の説明を聞いて、コミュニケーションを取りながら判断することが大切だと思います。

(文 竹下順子、写真 武藤奈緒美)

[日経トレンディ2020年5月号記事を再構成]

加藤大基さん
川崎幸病院 放射線治療科部長、放射線治療センター長。東京大学医学部卒業後、放射線科医として国立国際医療センター、癌研究会附属病院、東京大学医学部附属病院などに勤務後現職。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_