カメラの質は高いが撮影シーンに弱み

では、多くの人が日常的に利用するカメラの性能はどうか。新iPhone SEのメインカメラは画素数が1200万画素、レンズの明るさを示す開放F値が1.8のカメラを1つだけ搭載するシングルカメラ構造で、iPhone 8とまったく同じ仕様だ。

新iPhone SEの1200万画素のカメラを1つだけ搭載する。F値は1.8と小さいので暗所での撮影には比較的強い

だが新iPhone SEは新型チップの性能を生かしたソフトウエア処理によるカメラ機能の強化がなされている。iPhone 8には搭載されていない、人物撮影時に背景をぼかした「ポートレートモード」や、逆光のシーンなどでも被写体が暗くなったり、白飛びしたりしない「スマートHDR」に対応したことで、より幅広い撮影シーンに対応できるようになっている。

搭載チップの性能強化によって、新iPhone SEは「ポートレートモード」や「スマートHDR」に対応した

シングルカメラの新iPhone SEに対して、AQUOS sense3のメインカメラは1200万画素・F値2.0の標準カメラと、1200万画素・F値2.4の広角カメラのデュアルカメラ構造。またXperia 10 IIは、1200万画素・F値2.0の標準カメラと、800万画素・F値2.2の超広角カメラ、800万画素・F値2.4で光学2倍ズーム相当の望遠カメラを搭載した、トリプルカメラ構造となっている。

Xperia 10 IIは4万円台ながら3つのカメラを搭載する。1つ1つのカメラ性能が高いわけではないが、超広角や望遠といった幅広い撮影シーンに対応できる

新iPhone SEは搭載するカメラの数が少ないことから、メインカメラでの撮影シーンの幅広さという点ではライバル2機種に譲ることは確かだ。だがポートレート撮影への対応など、新型チップの搭載によってシングルカメラの弱点を補い、かつF値が小さく暗所での撮影が得意なことから、質の面では有利といえそうだ。

ちなみにフロントカメラは、新iPhone SEが700万画素・F値2.2であるのに対し、AQUOS sense3が800万画素・F値2.2、Xperia 10 IIが800万画素・F値2.0と、こちらは性能面だけを見れば大きな差はない。

差があるのは主にソフトウエア処理の部分。新iPhone SEはフロントカメラにもポートレートモードやスマートHDRが適用される。ライバル2機種は目や肌、顔の輪郭などを補正する、いわゆる「ビューティー機能」を搭載している。

操作性重視で長く利用するならお買い得

これらの比較結果を踏まえ、どのような人が新iPhone SEを選ぶとお得で高い満足度が得られるだろう。やはり新iPhone SEは本体がコンパクトで操作がしやすく、長期間買い替えなくても満足できる性能を備える。SNS(交流サイト)などによるコミュニケーション、あるいはキャッシュレス決済など「日常使い」に重きを置き、なおかつ2年以上使うことを前提とする人にとっては非常にお得なモデルといえそうだ。

一方、新iPhone SEはディスプレーサイズが小さく、カメラの数が少ないことも事実。映像やゲームなどのコンテンツを楽しむことが多かったり、カメラ撮影などにこだわりを持ったりする人は、他のスマホを選んだ方が満足度が高いかもしれない。

新iPhone SE、Xperia 10 II、AQUOS sense3の比較

スマホに求める機能によって購入後の満足感は大きく変わってくる。新iPhone SE以外にも低価格スマホの品ぞろえは着実に増えている。スマホを買い替える際はより多くの端末を比べてみるのがよいだろう。

佐野正弘
 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。