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在宅でとろり滑らかネルドリップ 達人が淹れ方指南

コーヒーのある空間には語らいや思索が生まれる。新型コロナウイルスの混乱を経て、人と人をつなぎ、ひとときの安らぎをもたらすこの飲み物の存在価値が、改めて見直されるかもしれない。コーヒーにゆかりのある人々が語る、香り豊かな一杯の魅力や楽しみ方、独特の世界観を手掛かりに、新たな文化やビジネスが芽吹く可能性を探ってみたい。

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「ネルドリップ」と聞いてコーヒー愛好家はどんなイメージを思い浮かべるだろう。昭和の喫茶店? こわい店主の職人技? 面倒くさくて難しい?

ネル(フランネルの略)と呼ばれる布のフィルターでコーヒーを淹(い)れるネルドリップは、粉に含まれるうま味を余すところなく引き出し、口当たりはとろりと滑らかで、深いコクが味わえる。「最高の抽出方法」と断言する熱烈なファンも多く、名だたる喫茶店主たちがドリップの技を磨いてきた。一方、紙のフィルターを使うペーパードリップなどに比べて手間がかかるうえ、技術的なハードルが高い印象から「自分で淹れるのはちょっと……」と素人には敬遠されがちだ。

通販では千円未満のネルフィルターも取り扱っている。新型コロナ対策で喫茶スペースの営業自粛が広がるなか、自宅用のコーヒー豆の販売は好調という店もある。コーヒーに興味がある人ならば、在宅している時間を利用してネルドリップにトライしてみるのもいい。そこで著名なコーヒー豆専門店「ダフニ」(東京・港)の店主、桜井美佐子さんに、初心者でも安定して抽出できるコツを動画で指南してもらった。今回の抽出量は1人前(100cc)。お湯は90℃以上、蒸らしは20秒程度、抽出時間は2分が目安だ。

ダフニの入り口には大きなモッコウバラが。「ダフニ」は沈丁花のことで、桜井さんの誕生花を店名につけた

桜井さんは昭和17年(1942年)生まれ。OL生活を経て30歳で入社したコーヒーチェーンの蘭館珈琲ハウスで、伝説的なコーヒーの職人と巡り合う。戦後に開業した大阪の喫茶店「リヒト」や「なんち」のマスターとして知られた襟立博保(えりたて・ひろやす)さんだ。やはり戦後に東京・銀座で「カフェ・ド・ランブル」を開いた関口一郎さんと並ぶ業界のカリスマ的存在で、蘭館珈琲ハウスの創業期に顧問をつとめた。

桜井さんがコーヒーの基本を学んだレジェンド、襟立博保さん
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