2020/5/25

中北 すごい気に入られ方ですね。たぶん君の才能なんだと思うよ。よく天才というのは、発信の強い人のことを言いますが、私の先輩に異なるタイプの天才がいます。それは、相手から懐に入られる天才です。簡単になめられるから、相手はすぐに上からマウントとってくるんですけど、知らない間に相手は全部さらけ出してしまっている。だから誰とでも仲良くなれる。しかも向こうから来るから、苦労せずに。

E 確かに、すぐになめられます。中学の部活でも後輩からコートに入らないでくださいって言われたこともありますし。

中北 ひどいね(笑)。でも心配ないよ。いずれ世話好きの後輩と仲良くなれます。今はそういうフェーズの後輩がいないだけ。つまりEさんが短所だと思っている部分が「盲点の窓」。だから目指す方向を変えた方がいいんじゃない? 経済的に自立とか、普通に働いていたらできるやん。何か違う要素も入れられるんじゃないの。

E ちょっと現実味がないんですけど、「いじわるばあさん」(長谷川町子原作の漫画)みたいな人になりたいです。

中北 面白いね(笑)。仮に「いじわるばあさん」があるべき姿だとして、短所の優柔不断とか人見知りって、むしろあった方がよくない? 「いじわるばあさん」みたいな人って、絶対人見知りですよ。「人は長所で尊敬され、短所で愛される」という言葉があります。短所もちゃんと生かした方がいいと思うよ。

伝え方は正攻法じゃなくていい

E そういう自分を、どうアピールすればいいですか。

中北 ちゃんと接して話さないと、君の良さはなかなか見えてこない気がしますね。だから今は難しいかもしれないけど、インターンとかはやった方がいいと思います。面接じゃ伝わりにくい。ちょっと抜けてる子に見えるから。私のEさんの第一印象は、あまり特徴がない普通の子だと見えていたから、そこはもったいないなと感じますね。

ハキハキ話すようにするといった印象操作はおそらく向いていないです。なぜなら不思議だから。君は正攻法じゃない。私が君だったら、自分のことを知っている人にインタビューした動画を作って、ツイッターで発信して、会社の問い合わせフォームに投げまくる。

E 自己PRで、私は愛されキャラですって言うのも変じゃないでしょうか……

中北 そのぐらい外していいんです。面接というのは差別化だから。私は「人から懐に入られる人間です」でいいと思うよ。人の懐に入る人や、順応性が高いという人はどこにでもいるけど、順応のレベルが全然違う。バイト先のブラック企業で次から次へと辞めていったけど、私は自分なりに楽しさを見つけて続けています、とかね。

繰り返しだけど、君は正攻法じゃなくて、どうしたら自分の良さを伝えられるかというのを戦略的に考えた方がいい。愛想がなさそう、でも話したらいい人だったというのは、良いギャップじゃないですか。そして「いじわるばあさん」そのものじゃないですか。だからもう少しこれを狙い通りにやった方がいいです。

(文・構成 安田亜紀代)

中北朋宏
浅井企画に所属し、お笑い芸人として6年間活動。トリオを解散後、人事系コンサルティング会社に入社し、内定者育成から管理職育成まで幅広くソリューション企画提案に携わる。その後、インバウンド系事業のスタートアップにて人事責任者となり、制度設計や採用などを担当。2018年に人材研修コンサルティングなどを手掛ける株式会社 俺を設立し、社長就任。

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