短所は本当にマイナスか? 就活で役立つ「他己分析」(7)他己分析編

2020/5/25

面接道場

元お笑い芸人で、現在は人材研修などのコンサルティングを手掛ける中北朋宏さんが講師役となって、就活生に面接の極意をフィードバックする連載「面接道場」。今回は「他己分析」編。就活ではよく自己分析が大事と言われるが、それをより深いものにするために周囲の人にヒアリングするのが他己分析だ。他人の評価を通して、自分の捉え方・見せ方をどう考えていくべきか、中北氏がアドバイスした。

今回挑戦するのは明治大学4年の女子学生Eさん。就職活動は年明けから始めたが、「アピールできるようなことが見つからない」と悩んでいる。事前に、周囲の人からEさんの人物像についてアンケートに答えてもらった。

【Eさんはどんな人? 周囲の人の評価】
「少し愛想がなさそうに見えたけど、話したら愛嬌(あいきょう)があふれていてかわいい人だと思った」(バイト先の先輩)
「教授など目上の人からよく気に入られている。最初はあまり考えてない印象だったが、頭の中では色々考えている。短所はそれを思っていても口に出さないところ」(大学の友人)
「テストの準備などがいつも計画性がない。長所は継続力。小さい頃から始めた習いごとを嫌がらず続けた」(親)

面接前に認識しておきたい「盲点の窓」とは

中北 結構バシバシ言われていますね。第一印象は愛想がなさそうに見えたとか。面倒くさがりとか。総じて、自分が思っている通りでしたか。

E おとなしいとかはよく言われるのですが、愛想がないというのは初めて言われたかもしれません。でも確かに、自分は情に厚い人間だと思っていてもそう思われていないこともあって。

中北 なんでそう思われているの。

E 私としては不思議なんです……。今のバイト先がブラック企業でどんどん人が辞めていくんです。店長に「辞めないでね」って言われて、自分では本心で「辞めないです」って答えても「ウソでしょ、Eさんにそんな感情ないでしょ」と返されたり。

中北 なるほど、クールな感じで見られるんだ。今日は何をしたいかをお話する前に、自己分析に使用する心理学モデルの一つ、「ジョハリの窓」について説明します。窓は4種類あって、まず他人も自分も気付いていない窓が「未知の窓」。他人も自分も知っているのが「開放の窓」。他人が気付いていなくて自分だけが知っているのが「秘密の窓」。これを使えば、自分から「あなたにだけ自己開示する」と言って秘密をさらして仲良くなっていくことが可能です。ちなみにお笑い芸人というのは、この「秘密の窓」をパカパカ開けて、笑いをとりに行く職業と言えます。

自己分析に使用する心理学モデルの一つ、「ジョハリの窓」

今回の重要な論点は、他人が知っていて、自分は気付いていない窓。これを「盲点の窓」と言います。例えば自分は優秀だと思っているのに、他人からは「あいつは全然できない」と思われているとか、いわゆる「イタい人」です。それを避けるため、「盲点の窓」を「開放の窓」に寄せるというのを今回の目的にしています。そのためには、他人からフィードバックを受けるしかないんです。実はとても重要な作業で、これができていないと根こそぎ落ちる可能性があります。

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「人は長所で尊敬されて、短所で愛される」