話が長くてまとまらない脚本家、中園ミホさん

なかぞの・みほ 脚本家。東京都生まれ。TVドラマ「Doctor-X 外科医・大門未知子」「花子とアン」「西郷どん」などを執筆。「ハケンの品格」続編が近日放送予定。新刊『占いで強運をつかむ』が発売中。

会話にしても文章にしても、話が長くてまとまりません。本題に入ったかと思うと別の話に飛び、本題に戻ったかと思うとまた別の話にという具合です。子供からは「もう慣れたよ」とあきれられています。頑張って短くまとめようとすると、肝心のことが抜けたりします。分かりやすく簡潔にまとめるにはどうしたらいいでしょう。(神奈川県・40代・女性)

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ドラマの脚本を書いていて、同じような経験があります。たった数分のシーンなのに、1日かかっても書けない。気持ちはすごくあるのに、話しがどんどん横にそれていってまとまらない。

そんなときは、シーンに盛り込みたいことを箇条書きにすることにしています。登場人物が3人いるとして、それぞれがこういう状況にあって、この人のこういう発言によって、状況がこんな方向に変わっていく――。

いったん因数分解して、頭をクールにしたうえで書き出すと、あら不思議。こうすればここにたどり着くんだというのが見えてきます。脚本家を30年以上やってきて、やっと分かってきました。

先日、歌手のMISIAさんとお話する機会があって、日ごろから歌唱力はもちろん作詞もすばらしいと思っていたので、どうやって書いているのか聞いてみたんです。

そうしたら、勢いで一気にできちゃうときもあるけれど、まとまらないときは箇条書きにするそうです。この曲のここで歌いたい言葉や伝えたいことは何かと。ああ、天才のアーティストでもこんな地道なことをされているんだなと思い知りました。

相談者さんも試してみてはいかがでしょうか。きょうご家族が帰宅したら、あれを話そう、これを話そうと、まず紙に書き出してみる。そうすると脱線度合いがだいぶ少なくなります。毎日やっていれば、枝葉と幹が見極められるようになるはずです。

次の段階として起承転結があります。これからこんな話をしますよ、実はこんなことがあって、こんな様子だから、私はこうしたほうがいいと思うよ、というように順序立てて話さなければ、家族同士でも説得力がありません。

もっとも会話は骨の部分だけじゃつまらないし、ぜい肉の部分も必要です。黒柳徹子さんはお話の天才で、すごく脱線するのですが、その脱線が最高に面白い。同じことを私など一般の人がやろうとすると、この人何が言いたいのとなってしまいます。

「もう慣れたよ」と言ってくれるのなら、優しいお子さんなのでしょう。その方を相手に練習なさってください。


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