アニメ『BNA』 人間と獣人の世界が少女に問うもの

2019年公開のオリジナルアニメ映画『プロメア』が興行収入15億円を超えるスマッシュヒットを記録するなど、今、注目度の高いアニメーション制作会社の1つTRIGGER(トリガー)。その新作テレビアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』が、4月よりフジテレビでの放送を開始。ネットフリックスでも配信中だ。

主人公の影森みちる(右)と彼女の面倒を見ることになる大神士郎=(C)2020 TRIGGER・中島かずき/「BNA ビー・エヌ・エー」製作委員会

人類と獣人が存在する世界が舞台。普通の人間だった女子高生の影森みちるは、突然タヌキ獣人になってしまい、人間たちから迫害される獣人たちが唯一安心して暮らせる獣人特区「アニマシティ」へと向かう。そこで出会ったオオカミ獣人の大神士郎ら様々な獣人との関わりを通して、みちるの成長を描いていくオリジナル作品だ。

監督は魔女見習いの少女たちを描いた『リトルウィッチアカデミア』で高い評価を受けた吉成曜、脚本は劇団☆新感線の座付き作家で『プロメア』などアニメ作品も数多く手掛ける中島かずき。トリガー×吉成監督×中島という最強タッグとなる。

『BNA ビー・エヌ・エー』 フジテレビ「+Ultra」(水曜24時55分~)で放送中。ネットフリックスでも配信中 (C)2020 TRIGGER・中島かずき/「BNA ビー・エヌ・エー」製作委員会

人間と獣人との確執、アニマシティに隠された謎、なぜみちるは獣人になったのかなど、ミステリー要素も散りばめながら中島の得意な群像劇を展開し、グイグイと視聴者を引き込んでいく。

吉成監督は「主人公が何をしていくか、自分に何ができるのか探していく物語。みちるには人間に戻りたいという思いは当然ありますが、じゃあ自分が人間に戻れさえすればいいのか、というとそうじゃない。まずは、人間の世界と獣人の世界のどちらも知っているからこその使命に目覚めていく。そして、みちるが社会に関わっていくというのが作品のテーマでもあるので、その答えをしっかり描いていきたいです」と語る。

また、みちると行動を共にする士郎や親友のなずな、人間でありながらアニマシティに協力するアランなど、脇を固めるキャラクターたちも個性的で魅力的だ。「みんなそれぞれの正義で動いている。中島さんはキャラクターの立たせ方が分かっていて、常に考えてくれています」

21世紀、それまで歴史の闇に隠れていた獣人たちだったが、存在を人間に知られ迫害を受けてしまう。ある日突然、人間から獣人となってしまった影森みちる(左)は、10年前に建設された獣人特区「アニマシティ」にたどり着き、予想外の出来事に巻き込まれていく。

映像については「少ない情報量で、見せたいものを強調する」とこだわりを語る。「アニメでは今、情報量の多いリッチな映像がはやっていますが、見せたいものを絞る、絵の良さを生かしていくという考え方。色彩のバランスも単純な色構成にしていて、例えば反対色をぶつけて色彩は少ないけれどもビビッドに見せています。そうすることで映像に奥行きが出て、キャラクターを際立たせて見せることができる」と言う。「パッと見てトリガーの作品ぽいなと思ってほしいですね」と続けた。

『リトルウィッチ』に続き女の子を主人公に描くが「アニメにおいて、女の子の描き方は未開拓な部分がまだたくさんあると思います。表に出ていないテーマが埋まっている素材なので、そういう意味でも他のアニメとは違うものになっていると思います」

(日経エンタテインメント!5月号の記事を再構成 文/山内涼子)

[日経MJ2020年5月8日付]

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