在宅勤務の今だからこそ 集中力とコミュ力を高めたいリモートワーク時代の働き方(下) &Co.,Ltd.代表取締役 横石崇氏

横石氏はリモートワークで孤独にならないためには工夫が必要だという

オンラインワークで孤独にならないために

「リモートワークになってから、チャットやメールの頻度が上がった」という話をよく聞きます。通信量の増加は、表面的には人とのコミュニケーション量が減っていないとも受け止められますが、一方で、人と物理的な空間を共有しなくなったことで、心理的にも隔たりができ、急速に「孤独化」が進んでいる状況です。人によっては仕事を押し付けられていると感じてしまったり、際限なく働きすぎてしまったり、相談する相手もなく一人だけで働いているような感覚に陥りがちです。

孤独と向き合う際、2つの選択肢があると思います。1つ目は孤独に抵抗して打ち勝つことです。そのためにも自分の周りの「人間関係」をアップデートする必要があります。人は社会的な動物といわれますが、人とのつながりを積極的に求めていくことです。今までの組織や家族というコミュニティーに加えて、オンラインコミュニティーの存在がキーポイントになるでしょう。社会的な欲求を満たすのは職場の人間に限る必要はありません。地元のコミュニティーでもNPOでも構いませんし、人と人の接触を少しでも減らすことを考えると、いつでもどこでも気軽に参加できるようなオンラインコミュニティーの存在感は強くなっていくはずです。私がおすすめするのは、自らが幹事となってオンラインコミュニティーを運営してみること。それが今後の自分の経験となり、仕事にも良い影響を与えてくれるはずです。

そして、2つ目の選択肢は孤独と共生することです。孤独を寂しさと捉えるのではなく、孤独を仲間にしていく長期的な視野に基づいた考え方です。コロナウイルス収束後も、孤独で働くことがスタンダードとなり、分散型中心の組織や集団のシステムがつくられていくことになるはずです。以前から、分散して働くことの可能性は追求されてきましたが、より本格的にリモートワークを含めて分散型の組織や働き方の幕開けとなるのではないでしょうか。孤独でありながらどのようにしてチームとして生産性を上げるのか、これは今の日本に限らず世界的な課題のように思えます。

すこし話はずれるのですが、私の担当する大学講義でも200人ちかい学生を相手にオンラインで行っています。授業のスタイルは講師によって全く異なりますが、私の場合はギュッと短い時間に絞って先に伝えたいポイントをまとめて話し、残りの時間はチャットなどで議論や彼らの思いに沿って相談会をするようなラジオ形式講義をとるようにしています。そこでは理論的な話よりも、ぶっちゃけ話がメインです。自然と人間臭く、今まで以上に素の対話になるんですね。学生たちの慣れも早い。そこで気づいたことは、今まで講師も学生も漠然と学舎に集まっていたわけですが、本当に学舎は必要なのだろうかという疑問でした。

離れたことによって、お互いが学びのエッセンシャルだけをつかみ取ってもらうことに集中できれば、わざわざ学舎に行く必要もありません。ある学生は「教室に行くよりも授業に何倍も集中できたし、先生のこともより理解できた気がする」と話してくれたように、お互いが孤独の中だからこそつかみ取れることもあります。芸術家の岡本太郎は「孤独こそ人間が強烈に生きるバネ」だと語りました。孤独が当たり前になっていく時代だからこそ、より人間的に自分らしくいられることにスポットがあたっていくと思います。

コロナウイルスにより働く場の環境が変わり、仕事の振る舞いや考え方が大きく変わっていこうとしています。今後は、より本質的で人間的な暮らし方や働き方が問われてくると思います。習うより慣れること。今まで通りのコミュニケーションや働き方に固執するのではなく、これを機会にしてそれぞれの自分らしいやり方や自分たちらしい働き方が生まれてくることを期待しています。

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横石 崇
&Co.,Ltd.代表取締役・プロジェクトプロデューサー/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー。1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に&Co., Ltd.を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」は、3万人の動員に成功。法政大学キャリアデザイン学部兼任講師。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。代官山ロータリークラブ会員。米国ビジネス誌「FAST COMPANY」をはじめ国内外でアワード受賞。著書に『これからの僕らの働き方』(早川書房)、『自己紹介2.0』(KADOKAWA)がある。

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