ファシリテーターの腕 全体デザインとライブ感がカギクリエイティブディレクター 佐藤可士和(7)

写真はイメージ =PIXTA
写真はイメージ =PIXTA

日本を代表するクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏。一日の多くは「打ち合わせ」で埋め尽くされているという。30を超えるプロジェクトが常時無理なく動いているという佐藤氏の仕事を支えているのは質の高い打ち合わせだ。文庫化された「佐藤可士和の打ち合わせ」から、同氏が実践する打ち合わせの極意をのぞいてみよう。

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《ファシリテーター》
 打ち合わせは
 「ファシリテーターの腕」で決まる

ファシリテーターがしなければならないこと

これはどんな打ち合わせでもそうですが、誰かその場を仕切る人がいなければ、絶対にうまくいきません。これこそが、ファシリテーターの存在意義です。仕切り役のいない打ち合わせは、まさに最悪の打ち合わせといえます。

誰も発言の口火を切ることができないし、上司に萎縮した若い人の発言も引き出せない。意見を出し合うような雰囲気も出てこないし、何も前に進んでいかない。そんなことが起こりうるのです。

そして打ち合わせは、ファシリテーターの腕でその質が決まります。打ち合わせにおいて仕切り役は、極めて重要な役割を持っているということです。

ファシリテーターには、かならず確認しておかなければいけないことがあります。まず大事なことは、プロジェクト全体が見えていること。そしてその中で、この打ち合わせがどういう意味を持つのかを理解できている、ということです。一つひとつの打ち合わせの目的がはっきり見えているかどうか。

この打ち合わせで何を話し合うのか、どんなゴールを目指すのか。どんなことを話し合いたくて、どんな着地点に到達したいのか。まずは、これをはっきりさせ、打ち合わせの冒頭で出席者に伝えておく必要があります。

出席者は、なんとなく理解してきているかもしれませんが、冒頭にきっちり語ることで、改めて目的が理解できる。そうでなければ、何のために打ち合わせが開かれるのかがぼんやりしたまま、という危険もあるのです。

簡単なことのように思えますが、意外にできていない打ち合わせも少なくありません。

 

典型的なダメな打ち合わせに、こんなものがあります。全体像の説明がないままに、いきなり各論から話し始めてしまうというもの。

出席者は、ぼんやりとはわかっていても、やはりまずは今日の目的は何か、をファシリテーターからしっかり聞きたいもの。どうしても、これがぼんやりしたものになりがちだからです。

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ファシリテーターは打ち合わせを「デザイン」せよ