有名な芸能人では共感を得にくい

ビームスドットのPRは、インスタグラムをメインに展開している。これも調査結果を基に決めたことだ。Z世代がよく使用しているアプリを調査したところ、10代は動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」、20代はインスタグラムが最も多かったが、ツイッターとインスタグラムは10代と20代ともに使っていた。

「インスタグラムの利用者は多いだろうと予測していたが、調査したことで確信できた」と米山氏。PR方法については、SNS内に流れてくる商業的な広告は見ないという意見がある一方で、自分と同じ世代の等身大のモデルが出ている広告は親近感が湧き、目に留まるという声もあった。

そこで、モデルは誰もが知る有名な芸能人ではなく、インスタグラムで人気のインスタグラマーを起用した。著名人を起用すると、「手の届かないブランド」に見えてしまう恐れがあるからだ。「インスタグラムで人気があり、ファッションのテイストが異なる男女10人のインスタグラマーにモデルとして協力してもらうことにした」と米山氏。インスタグラム内での広告は、ストーリーで展開している。

また、「自分が着たときのイメージ」が湧きやすいように、モデルの身長や服サイズなどを明記している。ビームスの公式オンラインショップには「STYLING」というコーナーで、ビームススタッフの着用写真とコメントを掲載する仕組みもある。ビームスドットでは米山氏も自ら、様々なコーディネート写真をオンラインショップ内で公開している。

予想外だったのは、メンズ服の売れ行きが良かったことだ。売り上げはメンズ6割、レディース4割。メンズの洋服を女性も購入しているからだという。「若い人たちの間で数年前から、彼氏のシャツを着こなす『彼シャツ』というコーディネートがはやっている。そこから派生して、大きめサイズをあえて購入するニーズがある」(米山氏)。

今後はインスタグラムのストーリーに搭載されているライブ機能(インスタライブ)でスタッフが商品を紹介したり、アンケート機能を活用してサイズやシルエット、色などデザインに関する意見を集めたりして、ファンとのコミュニケーションにも力を入れていく計画だ。

Z世代に人気のインスタグラマーをモデルとして起用している
ビームススタッフの着用画像を掲載する「STYLING」というコーナーで公開している、ビームスドット販売担当の米山友里恵氏のコーディネート写真

(ライター 西山薫、写真提供/ビームス)

[日経クロストレンド 2020年4月30日の記事を再構成]

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