そもそもビームスは今回、「ECのみの展開」という前提で新しいブランドを開発しようとしていた。そこで公式オンラインショップの利用者の平均年齢を調べてみると、39.5歳と高めであることが判明。若年層にアプローチできていないことが分かり、Z世代に向けたブランドを開発することを決定。それがビームスドットだった。

そういった経緯から、実店舗での販売は当初から想定しておらず、ビームスドットにはZ世代に安心感を与える工夫が必要不可欠だった。「実店舗で現物を見て安心するのと同じように、オンラインショップでも洋服をできるだけリアルに見せていく必要があると気づいた」と安藤氏は言う。

ファッションブランドは、モデルが着ている洋服をより美しく見せるために、洋服全体に光が当たるように撮影するのが一般的だ。だが、ビームスドットは、「いい意味でチープに見えるようにしている」(米山氏)。

調査で得た「ビームスは憧れのブランドだけど高そう」といった声を踏まえ、例えば商品の撮影時には服に光を強めに当て、あえて陰影を付けるようにした。これによって若者らしいパワフルな印象となり、Z世代は「自分たちのブランドだ」と感じやすいのだという。ビームスの公式オンラインショップで他ブランドと洋服が並んだとき、若者向けのブランドであることを際立たせて差異化を図りたい、という狙いもある。あえてチープに見せることで安心につなげる──それは、もとよりブランド力があるビームスだから可能な戦略ともいえるだろう。

いい意味でチープに見え、パワフルな印象となるように、服に光を強めに当てて撮影し、あえて陰影を付けた。タイダイ柄 フーディ(5280円)
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有名な芸能人では共感を得にくい