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新型コロナ禍で資金繰りに悩む事業者の相談が相次ぐ(5月1日、東京都の品川区役所)

新型コロナ禍で資金繰りに悩む事業者の相談が相次ぐ(5月1日、東京都の品川区役所)

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国や地方自治体が中小企業や個人事業主の資金繰りを支援する施策を相次ぎ打ち出している。ただ、雇用調整助成金には助成金額に上限があるほか、各種融資は金利や融資実行までの期間、融資額の上限が異なるなど注意が必要。既存の主な支援策の内容や利用する際の注意点をまとめた。

◇  ◇  ◇

雇調金で特例措置 額には上限

「雇用調整助成金(雇調金)」は経済上の理由で事業活動縮小に追い込まれた事業者が従業員を休ませ、平均賃金の60%以上の休業手当を支払った場合、一定割合を助成する仕組みだ。新型コロナ感染拡大に伴い、様々な特例措置を設けている。

主なものでは、助成金の対象に、アルバイト・パートなど雇用保険に入っていない従業員も含めた。解雇などを行わなければ、60%分までは助成率を通常の3分の2から10分の9に引き上げ、残りの分は全額助成する仕組みだ。同条件でさらに、都道府県の休業要請に応じた場合は払った手当全額を助成する。

一方、助成の上限額は現行1日8330円で、従業員に払った休業手当の額を事業者がそのまま受け取れるとは限らない。従業員に1日1万円の休業手当を払ったとすれば、差額は企業側の負担になる。

雇調金の利用を考えている東京都青梅市の自動車部品製造業の経営者は「東京都内の最低賃金は1時間1000円を超えるのに上限が低すぎる。見直すべきではないのか」と指摘する。こうした要望を踏まえ、政府は上限を引き上げる方向で検討を始めた。

申請後助成金の支給までは従来約2カ月かかっていた。厚生労働省は1カ月を目指すとしているが、経営者からは「給与の支払いは先延ばしできない。支給まで時間がかかるのは痛い」との声が相次ぐ。東京都江東区の軸受け製造の経営者は「リーマン・ショックの時に休業手当の支払いが先行し、資金繰りに苦労した」として、申請に備え5000万円を借り入れた。

従業員ごとに異なる休業の状況を確認する必要があるなど、申請書類の準備に手間がかかると感じる経営者もいる。外出自粛が求められ「通常ならハローワークの窓口に行って不明な点を確認しながら記入することができるが、今回はしにくい」(東京都調布市の部品加工会社)のも悩みの種だ。

コロナ特貸 3年無利子の場合も

「新型コロナウイルス感染症特別貸付(コロナ特貸)」は政府系金融機関の日本政策金融公庫(日本公庫)の融資制度。小売り、サービス業などで従業員5人以下などの規定に当てはまる小規模事業者の場合、個人事業主なら最近1カ月の売上高が前年同期比5%減っていれば、法人でも同15%以上減っていれば、3000万円を上限(国民生活事業)に、当初3年間無利子にできる。

外出自粛要請と、窓口での混雑回避を狙い、申し込みは郵送とインターネットでも受け付けている。申し込みから融資までの期間については「従来の当社との取引の有無、都心部と地方によってまちまちで一概に言えない」(広報部)という。

東京都町田市の住宅建設会社は4月上旬に申し込み約1カ月で入金された。一方、東京都八王子市の建設関連会社は4月中旬に融資を申し込んだが、融資実行は5月末か6月初旬になると言われた。経営者は「公庫とは以前から取引があるのにこんなに時間がかかるのは意外だ」と話す。

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