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国産小麦はうどんには向いているが、製パンに使うことはできないというのが長年の常識だった。しかし、2008年に北海道農業研究センターで製パン特製のよい「ゆめちから」という品種が開発された。写真は勝部農場(北海道栗山町)の「ゆめちから」の畑

学校の社会科で「日本は加工貿易の国です」と習った。それは、各種の鉱物資源などを海外から輸入して自動車や電化製品を作って輸出するイメージだったが、小麦粉も同じようなものだと言えるだろう。つまり、香港で見かけたサンドイッチに使われた小麦粉は、日本の製粉会社が小麦を仕入れて製粉した小麦粉という食品であって、小麦という農産物ではないのだ。それで、「日本産」ではなく「日本で製粉した」という微妙な表現になるというわけだ。

しかし、この「日本で製粉した」という言葉は、「日本産ではない」ということを表す消極的な表現ではなく、むしろ「日本製」の高品質を訴えているようだ。でなければ、サンドイッチのパッケージにわざわざこれほど大きく表示する必要はない。農水省広報誌「aff」(あふ)の麦の特集では、「日本の製粉工場の設備と技術水準が世界トップレベルだといわれている」という言葉も使われている。

現在、日本が小麦を輸入している主な相手国とその比率をおよその割合で表すと、米国5:カナダ3:オーストラリア2となる(平成30年度食料需給表より)。ある程度分散しているわけだが、実は、これが「日本で製粉した」のベネフィットの源泉となっている。というのは、小麦は品種ごとに異なる加工適性があるのだが、国・地域ごとに主に産する品種が異なる。そして、小麦生産国であれば、自国産小麦の品質に縛られるが、輸入であれば、産地ごとに異なる種類の小麦が集まることになり、製粉企業はよりどりみどりで、そのそれぞれの特長を生かした活用ができるということだ。

日本では小麦粉を、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉に分けて扱っている。これらは、小麦粉が主に含むグルテン(タンパク質の一種)の量と、粒の粗さによる特徴を表している。それぞれの特徴と用途は次のようになる。

強力粉は粒度が粗めで、グルテンを多く含む。パンは、生地をこねたときにこのグルテンが網目構造を作り、これが酵母の発酵などによって気泡となることで、あのふわふわの状態になる。だから、強力粉はパン用に使われ、また中華麺や麩(ふ)にも使われる。パスタ原料となるデュラム小麦のセモリナというのも、この強力粉に含まれる。どれも、グルテンの粘りと弾力を生かしたものだ。

準強力は、強力粉と中力粉の中間で、中華麺や菓子パンなどに使われる。中力粉はグルテン量が強力粉よりも少ないもので、日本ではうどんやそうめんの原料となる。薄力粉は粒が細かく、グルテンが最も少ない。白さも特徴だ。これはケーキ、ビスケット、クッキーなどの洋菓子などに使われ、色のよさから製麺で色の調整などにも使われる。そして、各国が主に産する小麦の、製粉したときのタイプは次のようになっている。

米国:薄力、強力
カナダ:強力
オーストラリア:中力、準強力
※なお、米国とカナダではデュラム小麦のセモリナも産する

ということは、パン用には米国産、カナダ産を使い、うどん用にはオーストラリア産を使い、洋菓子には米国産を使い、という大まかな分類があるということだ。そして、実はこの強力~薄力の分類はかなり大ざっぱな分類だ。同じ原料でも、製粉の過程で、粉砕の仕方、粒の削り方、ふるいわけなどによって30~40種類の異なる品質の粉ができるという。

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