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在宅勤務の「相棒」として実力を診断 新iPhone SE

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NIKKEI STYLE

「小型で廉価なiPhone」として注目を集めるiPhone SEの第2世代をアップルが発売した。廉価版という位置づけだが、最近では新型コロナウイルスの感染拡大によって、在宅勤務や自宅学習、家族との遠隔交流にスマホを活用するケースも増えている。そうしたオンラインサービスでも安定して使えるのか試してみた。

フラッグシップ級の処理性能を備える小型iPhone

アップルが2016年に発売した初代のiPhone SEと同じ名前を継承する第2世代のiPhone SEは、4.7インチの液晶Retina HDディスプレイを搭載。デザインは2017年に発売されたiPhone 8からほぼそのまま引き継いだ。

スマートフォンの頭脳、あるいは心臓にも例えられるメインチップには、19年秋に発売された最上位機のiPhone 11 Proと同じ「A13 Bionic」を搭載している。最新のiPhone SEはフラッグシップ級の処理性能を備える小型・廉価機なのだ。アップルの直販サイトでは64ギガ(ギガは10億)バイト(GB)の内蔵ストレージを搭載するSIMフリー機が4万4800円(税別)から購入できることから、コストパフォーマンスの面でも関心を集めている。

iPhone SEは、国内キャリアが3月下旬からサービスを開始した5G通信には対応していない。それでも目下の4G LTE通信環境でベストな体験を得るために必要な性能を備えているため、少なくとも5Gサービスが日本全国で本格的に運用されるまで安心して使えるだろう。

マスクのまま画面ロックを解除できる

筆者もiPhone SEを発売後すぐに購入した。本稿を執筆している時点で約1週間使い込んでいる。やはり片手で持って軽々と操作できるところがいい。

iPhone X以降の上位機にはフロント側のカメラでユーザーの顔を読み取り、スクリーンロックを解除する顔認証機能「Face ID」が搭載されている。新型コロナウイルスの感染予防を心がけるべき今だからこそ、顔にマスクを着けたままでも指紋認証によりスクリーンロックを解除できる「Touch ID」機能がiPhone 8からiPhone SEに受け継がれ、とても便利に感じる。

最上位機のiPhone 11 Proと同じA13 Bionicチップの恩恵は、すばやいアプリの起動や、グラフィックスに凝ったゲームのスムーズな描画処理などにも反映されている。iPhone SEには単眼レンズのメインカメラが搭載されているが、写真の出来映えは上位のiPhone 11にひけをとらない。美しい「ボケ味」を加えたポートレート写真や、明暗のバランスが整った風景のスナップ写真でも、複雑な設定や操作を必要とせず、シャッターを切るだけで簡単に記録できる。カメラの性能アップだけでも、おそらくiPhone 8以前の機種から新しいiPhone SEに買い換える価値は実感できるだろう。

在宅勤務や自宅学習にも役立つ

ネットワークの品質さえ確保できれば、Zoom(ズーム)やSkype(スカイプ)などテレビ会議システムの動作はとても安定していた。最大32人が同時にビデオ通話に参加できるアップル純正のFaceTime(フェイスタイム)も便利だ。

iPhone SE でFaceTimeのビデオ通話を使ってみたところ、コンテンツへの没入感が高く、より映像にも集中できた。全3色のモデルともにディスプレイを囲むベゼル(枠)が黒い。従来ホワイト系のモデルはホワイトのベゼルだった。黒いベゼルになると映像のコントラスト感が引き締まり、約4.7インチのディスプレイがより広く感じられる。

仕事に関するファイルのやりとりも簡単だ。ユーザーのアップル IDに結びつけられているiPhoneとパソコン(Mac)の間では、同社のクラウドサービスiCloud(アイクラウド)を経由して、Macで作成したWord(ワード)やExcel(エクセル)のドキュメントにiPhoneからアクセスして内容を閲覧、編集できる。

学校に通う子どもがいる家庭にも、在宅学習用のデバイスとして、あるいはオンライン授業やさまざまなコミュニケーションのためにiPhone SEは有効な機能を果たすツールである。また、離れて暮らす高齢の家族を見守るためのツールとしてもiPhone SEは最適だ。

基本ソフト(OS)のiOSが提供するユーザー体験が、機種の違いを超えて統一されているため、同じiPhoneのユーザー同士は、端末の使い方や設定方法を教えやすい。離れて暮らす家族にiPhoneによるビデオ通話の使い方を覚えてもらえれば、ウイルス感染を防ぐために家族の様子を見に行くことも困難になりつつある昨今、ビデオ通話による「オンライン里帰り」もしやすいだろう。

廉価で高性能なiPhoneはユーザーを呼び戻す

現行最上位モデルのiPhone 11シリーズと同じ高性能なチップを、普及価格帯の入門機であるiPhone SEにも積んで商品化できたことはアップルにとって大きな意味がある。筆者のまわりには、近年のiPhoneに魅力は感じるものの、高価であることから手を出せずにいたと話す友人・知人も少なくない。一度はAndroid系の格安スマホに乗り換えていたユーザーを廉価なiPhone SEが再び呼び戻すことになるかもしれない。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために様々なITテクノロジーの導入が検討されているなかで、これまでスマホを持っていなかった人々にも高性能で手頃なiPhone SEが行き届けば、有効なネットワーク基盤になるのではないか。

山本敦
フリーランスライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経て独立。AI・IoTに関わるスマートオーディオ、4KにVODまで幅広いカテゴリーに精通する。堪能な英語と仏語を活かし、国内から海外のイベント取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。

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