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留守中も私が猫を見守りたい 首輪型センサーで起業

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日経ARIA

かけがえのない家族の一員として、動物との暮らしを楽しんでいる女性は多いはず。物言わぬ彼らですが、時に心を幸せな気持ちで満たし、時に沈む気持ちにそっと寄り添ってくれます。「この子のためなら何でもする!」とまで思わせる存在かもしれません。人生に豊かな彩りを運んでくる最愛のパートナーとの物語を紹介します。

◇  ◇  ◇

「ようこそお待ちしていました。さあこちらへどうぞ!」。その瞬間、そんな少年の声が聞こえてきた気がしました。一般的に警戒心が強く、見知らぬ人がやってくると物陰に隠れてしまうことが多いのが猫。なのにその子は初対面でタタタッとこちらへ歩み寄り、すっと両前脚を持ち上げて優しくタッチしてくれたのです。え? 犬じゃなくて、猫が!?

「ブリちゃんは自分の役割をわきまえているんです。CCOですから」

ブリちゃんことブリ丸くんは、伊豫愉芸子(いよ・ゆきこ)さんがCEO(最高経営責任者)を務める会社のChief Cat Officer(最高猫責任猫)。そしてブリ丸くんの後をついて歩く弟分のおでんくんは、CCOのアシスタントを務めています。この肩書、ちょっとしたユーモア、などではありません。2匹は伊豫さんのビジネスにしっかり貢献しているのです。

猫との出会いが起業のきっかけに

中学生の頃に初めて飼って以来、猫が大好きという伊豫さん。2018年2月22日の「猫の日」に設立した会社RABO(東京・渋谷)は、「世界中の猫と飼い主が1秒でも長く一緒にいられるように、猫の生活をテクノロジーで見守る。」というビジョンのもと、商品の開発・販売をしています。以前は新卒入社したリクルートで10年ほどプロダクト開発や事業開発に携わっていましたが、起業家を輩出しているリクルートにあって、起業志向は皆無。そんな伊豫さんが思いがけず会社を立ち上げるきっかけになったのが、ブリ丸くんとの出会いでした。

念願の猫との暮らし でも留守中のことが心配に

「結婚してからもずっと猫は飼いたいと思っていましたが、夫に猫アレルギーの気配があって、なかなか機会がありませんでした。でも、私があまりにも毎日のように猫の動画を見続けていたら、夫がふびんに思ったのか、『俺が猫を飼っていいって言ったらどうする?』って言ったんです。その翌日にはブリーダーさん探しを始めました」

夫は幸い、検査をしてみたらそこまで重いアレルギーではないことも判明。早速ネットで見つけて一目ぼれした子に会いに行くことにします。それがブリ丸くんでした。

「実家で飼っていた3匹の猫は雑種でしたし、特に血統書付きにこだわったわけではないのですが、誕生日が分かって、お父さんとお母さんの顔が見たいなと思っていたんです。それでブリーダーさんから迎えることにしました」

野性味のある種類に引かれる伊豫さんが一番好きなのがアビシニアンで、ブリ丸くんはアビシニアンとソマリのハーフ。2016年にブリ丸くん、そして2019年にはベンガルのおでんくんが家族に加わりました。

ブリ丸くんと暮らすようになってから、伊豫さんはあることが気になり始めます。

「共働きなので、平日の日中、誰も家にいないときのブリちゃんのことが心配になったんです。何をしているかな、ちゃんとご飯を食べているかな、変なものを飲み込んだりしていないかな、と……。見守り用のカメラも設置しましたが、あまり姿が映らなかったりするし、危険があっても教えてくれるわけではありません。何かできないかなと思ったときに、『そういえば私、見られない時間の動物の行動を明らかにする研究をしていたな』と思い出しました」

バイオロギングを猫に応用できるのではないか

伊豫さんが大学と大学院で専攻していた研究分野は「バイオロギング」。動物の体に小型の記録装置を付けて、得られたデータから行動や生態を明らかにしていくものです。研究は楽しく、いつかまた動物に関わる仕事に戻りたいという思いはずっと心のどこかにありました。

バイオロギングはクジラやペンギンなど、主に海洋動物が研究対象。これを猫に応用して、何かできるのではないか……そう考えた伊豫さんは、10年ぶりに恩師の元を訪ねて意見を聞き、同じくプロダクト開発の仕事に携わる夫とも自宅で連日ブレスト。「バイオロギングと、プロダクト開発と、猫の3つをかけあわせた背景を持っているのは恐らく私しかいない!」と、起業へ向けて一気に動き始めます。「猫を飼っている周りの人に話を聞いたら、共働きや一人暮らしの人は私と同じようなことを感じていると分かりました。その後行ったウェブアンケートでも、やはり猫に留守番をさせている人の8割くらいが不在時の猫のことを心配しているという結果。そこから、どんなものがあればいいのか、どんなことが技術的に可能かを考えていきました」

こうして出来上がったのが、「Catlog(キャトログ)」という首輪型の装置です。ペンダントの部分に加速度センサーが内蔵されていて、「ご飯を食べている」「寝ている」「歩いている」「くつろいでいる」などの行動を検知。飼い主はスマートフォンの専用アプリで愛猫の状態をいつでも確認することができます。今後はさらにデータ解析の研究を進め、活動量の低下や嘔吐(おうと)、けいれんといった、病気の兆候が疑われる行動も検知できるようにしていきたいと考えているそうです。

Catlogは猫に負担の少ない素材や形状を採用しており、完成にたどり着くまでの間には、ブリ丸くんが試作品をいくつも装着するなど重要な役割を果たしました。現在はウェブサイトでモデルを務めているほか、おでんくんと共に週1日程度、オフィスに「出社」。取材に同席したり、目の前で猫の行動を見ながらのデータ採取に協力したりしています。

「購入者からは、『留守中の様子が見えるようになったのがうれしい、こういうものが欲しかった』という反応が一番多いですね。飼い主さんの不安をあおるのではなく、外にいても猫と一緒にいるような、生活が楽しくなるプロダクトにしたいと思っていたので、それを感じてもらえているのはうれしいです」

お気に入りの時間

甘えん坊のおでんくんは伊豫さんの膝の上が大好き。「夜、仕事から帰ってソファに座っていると、おでんちゃんはほぼ私の膝の上にいます。そんなおでんちゃんをなでながら、床暖房が利いたフローリングでごろんと寝そべるブリちゃんを眺めている時間が一番幸せです」(下の写真は伊豫さん提供)

「猫に枕を譲る夫」は新鮮な発見

会社の顔として活躍しているだけあって、ブリ丸くんもおでんくんも、カメラを向ければしっかり目線をくれる堂に入ったモデルぶり。でも、伊豫さんがじゃらすおもちゃで夢中になって遊ぶおでんくんに対し、ブリ丸くんは途中から離れたところでこちらをじっと見つめる観察モードに入りました。あれ、最初はあんなにフレンドリーにあいさつしてくれたのに?

「たぶんそれで役目は果たしたと思っているんだと思います。ブリちゃんはひとりで静かに過ごすのが好きなタイプ。頭が良くて意志が強くて、嫌なことは嫌だ! と自己主張も強いです。一方のおでんちゃんは甘えん坊の弟キャラなので、ブリちゃんに構ってほしくて仕方がありません。それでよくしつこくしてはブリちゃんにうざがられています(笑)」

ちなみに初めて猫と暮らすことになった夫はブリ丸くんを溺愛。もちろんおでんくんもかわいがっていますが、「すべてがブリちゃん最優先で、私以上にブリちゃんと絆を結んでいます。ちょっと夫にジェラシーですね」と伊豫さん。「ブリちゃんは夫の枕が大好きで、枕の上で寝ちゃうんですけど、そうすると彼は枕から落ちて寝ています。優しい人だとは思っていましたが、ここまで生き物を大事にするんだっていうのは新たな発見でした」

今年は初めて2匹と長く離れる予定があるといいます。「そのときは母に泊まりに来てもらいますが、たぶん気になって、Catlogを見まくると思います。会えないのはつらいですが、そういうときのほうがきっと利用者のニーズが分かりますね」

ブリ丸くん&おでんくんのごちそう【トリムネ】







ブリ丸くんとおでんくんには覚えている言葉があるそうです。それは、「ご飯」「カシャぶん(おもちゃの名前)」、そして「トリムネ」。小さい頃からゆでた鶏の胸肉やササミ肉をあげると大喜びし、以来、大好きな鶏肉は全部「トリムネ」で覚えて反応するようになりました。最近お気に入りの「トリムネ」は、フリーズドライの鶏ササミ肉。伊豫さんがつぶやいた言葉を聞きつけて、離れた場所にいた2匹がもらえると気付いて飛んできました。「ブリちゃんはご飯のときに、お手やタッチができるんですよ」と伊豫さん(真ん中の写真がタッチの瞬間!)。食欲旺盛なおでんくんは、自分のトリムネをあっという間に食べてしまい、ブリ丸くんのところへ「突撃」していました。

(取材・文 谷口絵美=日経ARIA編集部、写真 鈴木愛子)

[日経ARIA 2020年1月28日付の掲載記事を基に再構成]

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