業務の記録は1分刻み テレワーク先進企業の本気度

残業時間が減り、生産性はアップ

――なぜ書類をデジタルデータに?

「当時も今も日本は書類(紙)の文化が根づいていますが、テレワークではペーパーレス化・デジタル化は必須です。デジタル情報であれば書類を持ち歩く必要がなく、情報の共有化が簡単にできます。会議でも紙をベースに進めようとすると、参加者が一堂に集まらなければなりませんし、上司や会社への申請書類もデータにすればやり取りが容易です」

「デジタル化は社内だけでなく顧客との業務効率化にも寄与します。19年にテレワーク先駆者百選の総務大臣賞を受けた際、地方自治体のテレワーク環境の創出支援をしたことが理由として挙げられました。当社は企業や自治体を顧客として建築工事の発注者支援をするコンストラクション・マネジメント(CM)がビジネスの主力です。顧客の中には遠方の自治体もあるため、移動時間やコスト削減の観点からデジタル化された資料を使って、テレビモニターを通じてリモート会議で進めています」

「社員の業務もデジタルで管理し、共有化しています。04年に独自システム『明豊マンアワーシステム』を開発しました。経営陣を含めて社員は毎日、その日に担当した業務プロジェクトと作業時間を1分単位で入力します。入力情報は上司だけでなく社内でも共有されるため、自分以外の社員の働き方を見ることが可能です。誰がいつ、どのようなプロジェクトに関わっているのか、どのような働き方をしているのかといった情報がオープンになることで、自分の働き方を見直せるだけでなく、会社の経営環境や情報の共有化につながります」

――テレワークを導入したことで効果はありましたか?

「社員の残業時間が減りましたが、生産性は向上しました。1人あたりの1カ月平均の残業時間(フルタイム勤務者)をみると、12年度は約46時間ありましたが、19年度は約13時間まで減少。年間で見れば7年で400時間近く減ったことになります。建設業界の残業時間は月40~50時間が一般的。多いところでは100時間以上という企業もあり、15時間以下の企業はほとんどないでしょう」

「一方で売上粗利益を労働時間で割った労働生産性を見ると、18年度は12年度と比べて1.56倍になりました。業務を効率的に進めて、作業時間を減らしても高い利益を出せる体制ができています。社員によっては残業時間が減ることで収入が減ってしまう人もいるため、増えた利益は社員の給与・賞与で還元しています。12年度の平均給与を100とすると、18年度は平均122に増加しました。テレワーク導入のメリットは他にもあります。新型コロナウイルスの感染拡大のように非常事態が起きても慌てずに事業を継続することができたり、妊娠や育児中の女性が働く環境としても適していたりする競争優位性の確保につながると考えています」

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