肺がんリスク 禁煙20年でどのくらい下がる?

日経Gooday

答えと解説

正解は、(4)吸わない人とほぼ同じです。

たばこには有害物質が多く含まれていることは広く知られています。たばこの主流煙には、ニコチン、タール、一酸化炭素などの有害化学物質が200種類以上、発がん化学物質(ベンツピレン、芳香族アミン、ニトロソ化合物、ヒ素、カドミウムなど)が約70種類含まれています。これらの物質が体内に取り込まれると、正常な細胞のがん化のきっかけを作る、細胞のがん化を促す、がんの増殖を促進する、といった働きをします。

喫煙が日本人の肺がんリスクを上げていることは、大規模疫学調査(多目的コホート研究:JPHC Study)の結果からも明らかになっています。

がん予防のプロフェッショナルで、がん予防の著書も多く手がける、国立がん研究センター 社会と健康研究センター センター長の津金昌一郎さんは、「40~69歳の男女約9万人から生活習慣などについての情報を集め、10年以上の長期にわたって、どのような生活習慣が疾病の発症に関連するのかを検証した結果、喫煙している人は、非喫煙者に対して、男性で4.5倍、女性で4.2倍肺がんに罹患しやすいという結果が出ています(Int J Cancer. 2002;99(2):245-51.)」と話します。

これらの数値を基に、肺がんの原因のうち喫煙がどのくらいの割合になるかを推計したところ、「男性の肺がんの68%、女性の肺がんの18%はたばこが原因である」というデータが出ています。

時間はかかるが、禁煙すれば肺がんのリスクは低下する

JPHC Studyからは、男性の喫煙者について、1日に吸う本数が多いほど、喫煙期間が長いほど、肺がんのリスクが増加する傾向が確認されています。

たばこを吸う人を、喫煙指数(吸いはじめてからの年数×1日に吸う本数)によって分けると、 たばこを吸わない人に比べて、喫煙指数が増えるほど肺がん罹患率が増加していました。「喫煙指数が600以上の場合(例えば、1日20本のたばこを30年間吸い続けると600になります)、高危険群となります。この研究では、喫煙指数が1200を超える人では、吸わない人に比べて6.4倍肺がんに罹患しやすいという結果が出ています」(津金さん)

この研究では、たばこをやめると、やめてからの年数が長くなるほど肺がんリスクは減少することが明らかになっています。

「『長年、たばこを吸ってきてしまった。今さら禁煙してももう遅い』と考える人がいるかもしれません。しかし、この研究では、たばこをやめた人の肺がん罹患率は、たばこをやめてから9年以内では吸わない人に比べて3倍でしたが、10~19年では1.8倍、20年以上でたばこを吸わない人とほぼ同じになる、という結果が得られました。時間はかかりますが、禁煙すれば肺がんのリスクは徐々に低下するのです」(津金さん)。

多目的コホート研究(JPHC Study)から推計された、男性における禁煙年数と肺がんリスクの関係。やめてから9年以内の人のリスクは、吸わない人の3.0倍だったが、10~19年では1.8倍だった。さらに20年以上では1.0倍と、たばこを吸わない人と同じになった。(Int J Cancer. 2002;99(2):245-51.)

現在、喫煙している人も、たばこをやめれば何歳であっても、吸い続けた場合に比べて肺がんリスクが下がります。そして、早くやめるほど大きな効果が期待できます。

[日経Gooday2020年4月6日付記事を再構成]

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