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お値段は5000万円 超高級レコードプレーヤーを堪能

「年の差30」最新AV機器探訪

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NIKKEI STYLE

高級レコードプレーヤーは多々あるが、その中でも最上位の価格とクオリティーとして話題を呼んだのが「Air Force Zero」だ。オーディオ輸入商社のステラが自社ブランド「TechDAS」の一員として発表した「Air Force Zero」は、価格にして5000万円(税抜き)、重さ約350キロ(価格、重さともにタングステンモデル、以下同)と規格外のスケール。そして何よりもすごいのがその音の圧倒的な奥行きと臨場感だ。今回は、平成生まれのライターと昭和世代のオーディオビジュアル評論家がステラを取材。この「Air Force Zero」のすごさを、スピーカーなどあわせて合計1億5000万円超えという貴重な環境で体感した。

自社ブランドで、高品質なオーディオを

小沼理(28歳のライター)小原さんが注目AV製品として2019年末に挙げたオーディオシステムを聴くため、ステラにやってきました(記事「2019AV家電 驚きの8K有機EL、オーディオは2極化」参照)。

小原由夫(55歳のオーディオ・ビジュアル評論家) ステラは僕が日ごろからお世話になっている、海外のハイエンドオーディオを扱う輸入商社です。今回試聴するのは自社ブランド「TechDAS」のレコードプレーヤー「Air Force Zero」ですね。

小沼 「Air Force」シリーズは小原さんの自宅にもありましたよね。

小原 「Air Force One」ですね。もちろんこちらも素晴らしいのですが、「Air Force Zero」はそれをさらに上回る完成度です。小沼さん、これを聴ける機会はなかなかないので、しっかり聴かないと全オーディオファンに怒られますよ。

小沼 プレーヤーだけで5000万円、オーディオシステム全体で「億超え」ですからね……。心して聴きたいと思います!

小原 今回お話をうかがうのは、ステラの橋隅和彦取締役社長です。

橋隅社長 どうぞよろしくお願いします。

小沼 まず、ステラとTechDASの概要を教えていただけますか。

橋隅 先ほど小原さんから説明があった通り、海外のハイエンドオーディオの輸入と自社ブランドのTechDASが主な事業です。自社ブランドの製作をはじめたのは9年ほど前。当社を創立した西川英章会長がもともとハイエンドのアナログプレーヤーを作る会社にいたためノウハウがあったこと、自分たちで作ることで海外製品よりも安価で高品質なものを作れるのではないかと思ったことがきっかけです。

小原 西川会長と付き合いがある僕からすれば、自社製品の開発に乗り出したのは納得でした。当時在籍していた会社や、その時代にはできなかった技術を使って、より良いオーディオを作ろうと考えたのでしょう。そうして最初にTechDASが発表したアナログプレーヤーが「Air Force One」です。

小沼 たしか「Air Force One」の価格は720万円。この時点で、僕からすると雲の上の話に感じますが……。

小原 僕にとっても簡単に手の届く価格ではありませんでしたが、試聴した音が頭から離れなかったんですよ。何度も何度も繰り返し聴いていたレコードからそれまで気づかなかった音が聞こえてきて、とにかくそれが衝撃だった。3回試聴させてもらって、それでようやく購入を決意したんです。

橋隅 その「Air Force One」を超える、TechDASの技術の集大成が「Air Force Zero」です。まずは聴いていただきましょう。

合計1億5000万円超えのオーディオシステム

橋隅 こちらが「Air Force Zero」です。

小沼 うわ、大きいなあ! うちのテーブルに載りきらないくらいの大きさですね。こんなに大きいとは。

小原 総重量は約350キロですよ。

小沼 そして価格は5000万円。すべてが規格外すぎて言葉が出ません……。

小原 驚くのはまだ早いですよ、音を聴かないと。さて、どのレコードを聴こうかな……。

橋隅 今回のシステムを説明させてもらうと、まずスピーカーがウィルソンオーディオの「CHRONOSONIC XVX」(約7000万円)。プリアンプがコンステレーションオーディオの「ALTAIR 2」(約1250万円)、パワーアンプがコンステレーションオーディオの「CENTAUR II mono」(約1400万円)、フォノイコライザーがHSE SWISSの「MASTERLINE 7」(約870万円)です。2019年の東京インターナショナルオーディオショウで使用したのとほぼ同じシステム構成ですね。

小沼 合計すると1億5000万円超えじゃないですか! この部屋にいるのが怖くなってきますね。

小原 よし、決めた。リンダ・ロンシュタットの「What's New」、野島稔の「ラ・カンパネラ」、マイルス・デイヴィスの「Kind of Blue」は大好きな「So What」と「Blue in Green」を聴きたい! デュ・プレの「エルガー:チェロ協奏曲」も聴いちゃいましょう。

小沼 一度にたくさん選んできましたね!(笑)

命を削って奏でられた音楽が、生演奏以上の音に

~ 試聴後 ~

小原 ああ、心が洗われるようだ……。

小沼 どれもすさまじい音の豊かさでしたね。

小原 リンダ・ロンシュタットのボーカルは尋常じゃない奥行きが感じられたし、野島稔のピアノは生演奏を超えたと言っていいクオリティー。ヒスノイズさえすごく上品に聞こえました。マイルス・デイヴィスに関しては、僕はこの2曲が収録された「Kind of Blue」というアルバムを何バージョンも持っているのですが、このオーディオシステムがあれば1枚でよい、と感じるくらいでした。

小沼 色々な音を聴くために複数バージョン持っているけど、このシステムなら1枚で全部聞こえるということですね。たしかに、一つ一つの音がこんなにも克明に記録されているのかと、レコードのポテンシャルに舌を巻く音でした。

小原 デュ・プレにしても、音数の多いオーケストラのアンサンブルをこんなに大迫力で聴けるなんて。コンサートホールで生演奏を聴く以上の体験ですよ。

小沼 何十年も前の音楽が、生演奏以上の迫力でよみがえる感動を覚えました。

小原 オーディオの良いところは、すでに亡くなっている人の演奏や、居合わせることができなかったコンサートの音を聴けること。命を削りながら音楽を探究した人の演奏をしっかり聴くためだと考えると、こうしてお金を投資することは一つの醍醐味ですし、そこにこそハイエンドオーディオの存在価値があると感じます。

アナログの真価を引き出す「Air Force」の技術

小沼 実際にその音を聴いたところで、「Air Force Zero」について聞きたいと思います。まず、「Air Force」シリーズにはどのような特徴があるのでしょう?

橋隅 「Air Force」の名の通り、空気の力を使っているのが特徴です。まず、「エアバキュームシステム」を使ってレコード盤を重量級の金属製プラッターにぴたりと吸着させます。これにより、レコード盤の反りをなくし、レコード盤を重いプラッターと一体化させるわけです。次に、「エアーベアリング機構」によってプラッターを空気の力でほんのわずかに浮かせます。これによって、床などから伝わる微細な振動さえもシャットダウンし、SN比を向上させています。

小原 空気で浮かせるという発想自体は以前からあったんですよ。ただ、当時は加工精度も今より劣るし、浮かせるためのポンプの性能もまったく違う。昔のものは浮かせるためのポンプの動作音が大きすぎて、そっちばかり気になってしまいましたから。それが今では無音と言ってよい。こうした加工精度や技術の向上があって、ようやく実現したのが「Air Force」シリーズなんですよ。

橋隅 30年以上前にオーディオの主流はアナログからデジタルへと移行していきましたが、当時アナログはまだ発展途上の段階でした。道半ばにして世の中が変わり、技術の進歩が止まってしまったわけです。でも、本来アナログレコードはデジタル以上の膨大な情報量を持つメディア。技術の進歩があった今だからこそできるアナログの音を聴かせたいというのが、「Air Force」シリーズのコンセプトなんです。

小原 そのコンセプトは、僕が志向するアナログの取り組み方と完璧にマッチしています。「拾い切れていない音が、この溝の中にあるはずだ」というロマンがあるわけです。

鍵を握ったのは「40年前のモーター」

小沼 ノスタルジーとセットで語られがちですが、アナログの真価はそうではないということですね。僕は自分がレコード世代ではないのでノスタルジーで捉えてしまうこともありましたが、今回聴いてみてお二人の言っていることがよく理解できました。では、「Air Force One」と「Zero」の違いはどこにあるのでしょう?

橋隅 まず「Air Force Zero」開発の経緯から話すと、この製品に見合うドライブモーターが偶然手に入ったことからスタートしたんです。ドイツのPapst社製の、40年近く前のアナログテープデッキのモーターですね。

小沼 あれ、さっきは最新技術の話をしていたのに、ここでは40年前のモーターが鍵を握るんですか?

橋隅 はい。実はモーターというのは、産業用に使われるために安価かつ小型化の方向へ進化しているんです。ところが、これはハイエンドオーディオには適さない。そのため、良いモーターは過去に作られたものを手に入れるしかないんです。

小沼 ただ最新技術さえあれば作れるというわけではないんですね! 奥が深いなあ。

橋隅 今このクラスのモーターを作ろうとしたら、いくらかかるかわからないですよ。そのぐらい貴重なモーターです。

小沼 では、音や性能の差はこのモーターによるところが大きいのでしょうか。

橋隅 モーターもありますが、音の差を生むのはとにかく「物量」ですね。たとえば「Air Force One」のプラッターの重さは30キロですが、「Zero」は121キロ。その差が、ターンテーブルの回転や針との接触といった、レコードの再生の安定性と忠実性にかかわってきます。

小沼 「重量盤」といって発売されているレコードをよく見かけます。それと同じで、重ければ重いほど良いわけですね。

小原 「Air Force Zero」を使えば、いわば重さ121キロのレコード盤を再生しているのと同じ。もちろんもっと重くすればさらに安定しますが、その究極が「Air Force Zero」だといえるでしょう。これまでに2回「Air Force Zero」を聴かせていただきましたが、「One」と比べてもその音のスケール感は段違い。間違いなく現時点での最高峰だと思っています。

◇ ◇ ◇

「Air Force Zero」について、小原さんからレビューをいただいた。

聴き慣れたレコードからこれまで気づかなかった音が聴こえるという次元では収まらない。まるで数時間前に録音されたのではないかというぐらいの生々しい鮮度と、その場の空気感の圧倒的なリアリティーにくぎ付けになってしまった。再現された空間のスケールや立体感も、これまでつかんでいたイメージをはるかに超える大きさ、深さ、広さだ。レコードからこんな音が聴けるんだということがにわかに信じられないというか、驚嘆であり、長年アナログオーディオの可能性を信じて取り組んできた自分にとって、とてつもない歓喜である。価格もサウンドも、間違いなく前人未到の域にあるアナログだ。

小原由夫
1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。「Air Force Zero」で聴きたい曲は、「ピンク・フロイド/狂気(Dark Side of The Moon)」。
小沼理
1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。「Air Force Zero」で聴きたい曲は、「ダニー・ハサウェイ/ライヴ」。

(写真 渡辺 慎一郎[スタジオキャスパー])

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