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atama plus(アタマプラス、東京・品川)の創業者・稲田大輔氏はブラジルで起業のきっかけをつかんだ

atama plus(アタマプラス、東京・品川)の創業者・稲田大輔氏はブラジルで起業のきっかけをつかんだ

子供一人ひとりの学びを人工知能(AI)で分析し、つまずきの根本原因を特定する。そんな新しい学習教材を開発し、日本の教育に革新をもたらそうと挑む起業家がいる。タブレット端末を使ったAI教材を塾や予備校に提供しているatama plus(アタマプラス、東京・品川)の創業者・稲田大輔氏だ。創業のきっかけは、三井物産時代に見た、ブラジル人の幸福感に支えられた暮らしぶりだった。

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「異分野の掛け合わせでイノベーションを起こす」「笑顔を増やす仕組みづくりする」――。その2つの目標を実現したいと三井物産に入社した稲田氏は入社2年目で新規事業の立ち上げにこぎ着けた。しかし、立案したサービスのユーザーには、自身がこだわっていたはずの「笑顔」がなかった。発想が小さくまとまってしまっている。ショックを受けた稲田氏は突破口を見つけようと、ブラジルへ向かった。なぜブラジルは、「自分は幸せ」と感じる人の割合が高く、笑顔にあふれているのか。その秘密を探ることで、何かヒントが見つかるかもしれないと考えたからだ。

利用したのは、社内の海外研修制度だ。1年目は仕事をせずに徹底的にその国の言語と文化を学び、2年目から現地法人で働くという仕組みは、当時の稲田氏にうってつけだった。日本人が少ない北東部の港湾都市、レシフェの連邦大学に留学。家庭教師を1日6時間つけてポルトガル語をマスターすると同時に、ブラジル人の幸福感の理由を探るために、街へ繰り出した。

「ブラジル人になりきることに徹しました。ブラジル人の友人の家に泊まらせてもらったり、貧困街に入り込んだり。宗教を知るために、現地の人が信仰している黒魔術のことも教わりました。もちろんカーニバルにも参加しました。太鼓をたたいて踊りまくっていたら、現地のテレビクルーに取材され、僕の映像が翌年のカーニバルのCMに使われていました。それにはさすがにびっくりしましたけどね」

28歳にして現地の公立高校に飛び込み、高校1年生と3カ月間、席を並べた。ホームパーティーで知り合った先生が招き入れてくれたというのは、いかにもブラジルらしい。

最初の授業では生徒は日本からきた「セニョール・イナーダ」に興味津々。日本のアニメや食事、スポーツ、宗教、さらには犯罪、恋愛事情に至るまで矢継ぎ早に質問を浴びせてきた。50分間の授業は質問攻めで丸々つぶれてしまったが、先生はとがめることなく、次の授業もまた怒濤(どとう)の質問タイムに。「普段の授業では知り得ないことばかりだから」と自由な対話を尊重してくれた教師の度量に脱帽した。

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