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南極観測船の「しらせ」と島田さん(写真提供:島田剛)

まずは島田さんに南極観測越冬シェフの任務について聞いた。

「南極地域観測事業が始まって50周年にあたる2007年の2月1日から翌年の1月31日まで越冬任務に当たっていました。48次隊の越冬隊員は35人で、2人の調理担当隊員が朝昼晩の食事と夜食を作ります。それに加え、各隊員の誕生月の祝い、それと正月やバレンタイン、ひな祭りなど季節の行事と、月に2回のイベントの食事もあります。極寒の地で娯楽もない場所に1年間いるのですから、見た目や味はもちろん、季節感やイベント性を感じる楽しい時間を提供するのがシェフの任務でした」

食料の調達は一度きり。前年の7月から仕入れ準備を行ない、11月には調達した食料を海上自衛隊の保有する砕氷船「しらせ」に積み込む。隊員は12月に飛行機でオーストラリア・パース入りし、フリーマントル港で「しらせ」に合流。途中、フリーマントルでも乳製品や酒、生鮮食品を買い足し、12月下旬に昭和基地到着。そのとき持ち込んだ食材で隊員たちの1年の食事をまかなう(野菜は基地内で水耕栽培もしている)。

「用意した食材は1人当たり年間目安1トン+予備食300キロ、種類にして1580品目です。食材の内訳は肉・魚・野菜などの冷凍物が50%、コメ・調味料・缶詰などを含む乾物が20%、生鮮食品が15%、アルコール含む飲料が15%。持っていった食材はすべて使い切るのが基本で、足らなくてもダメ、余ってもダメなんです」

この状況下どんな食材を買えばよいか、食品をどう保存すればよいかを尋ねてみた。すると、「個人的には大量買いは控えめにした方がいいと思いますが」と前置きしながらも、以下のようなアドバイスをいただいた。

根菜類は日持ちし、常温保存に向く=PIXTA

「日持ちする野菜なら、タマネギ・ニンジン・ダイコン・ジャガイモ・ゴボウ・カボチャ・サツマイモなど。レタスやキャベツなどは南極では切り口に灰をまぶしてから新聞紙に包んで冷蔵庫に入れることにより日持ちさせていました。灰でなくても小麦粉や片栗粉でもいいです。ただ、葉ものはここまでして保存するよりも、おいしいうちに消費すべきかと思います」

「切り口に灰」はこうすることで野菜から水分が蒸発するのを防げるからとのこと。

「肉類は火を入れて冷凍すればよいでしょう。煮込み料理は大量に作れてストックがききます。魚は基本的に足が早い食品ですが、西京漬けやみりん漬け、麹(こうじ)漬けなどにしてから冷凍することで日持ちさせることができます」

冷凍する際には「真空パック」にすることでおいしい状態がより長持ちする。

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