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コロナ後に足を運びたい 東京で勢いあるウワサの2店

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NIKKEI STYLE

新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う非常事態宣言で、不要不急の外出がままならない状況が続いている。そんな中、今回のコラムではこれまで私が訪れた東京都内の行列店の中でも、えりすぐりの2店を紹介することにしたい。テレビ東京のドラマ「行列の女神~らーめん才遊記~」放送記念特別企画として開催中の「ラーメン・レシピ・コンテスト」(主催:日本経済新聞社、協力:テレビ東京)で私は審査員の一人だが、この2店は「行列の~」に登場する店舗に勝るとも劣らない人気店。コロナ問題が終息した暁には是非、足を運んでみていただきたい。

手打式超多加水麺ののくら【亀有】

店主は、実力店『九段斑鳩』の出身。オープンから2年余で、東京東部エリアを代表する名店に

都内でも屈指のラーメン激戦区として知られる、葛飾区の亀有エリア。名店としてその名を轟(とどろ)かせる『つけ麺道』、ご当地麺「和歌山ラーメン」の実力店『まる岡』など超一線級の実力店がひしめき、激烈な生存競争を繰り広げている。

2017年12月、同エリアにオープンした『手打式超多加水麺ののくら』も、紛れもなく、亀有を代表する実力店のひとつに数えられるだろう。

店主・白岩蔵人氏は、都内を代表する名店『九段斑鳩』で腕を磨き、独立。「私にとってお店は大切な存在なので」と、屋号は、店主の名(蔵人)と娘の名から採った。

店主のラーメンづくりに対する姿勢は、極めて真摯だ。「オープンから2年数カ月がたちましたが、振り返ってみれば、よりおいしいラーメンを作ることばかりを考えてきたような気がします。レシピを改善した回数は優に100箇所を超えているのではないかと思います」

オープン当初、店主は「スープ、麺はもちろんトッピングに至るまで、絶対に疎(おろそ)かにせず、自分の全力を注ぎ込んでいきたい」と語っていたが、まさに有言実行を貫いている形だ。

開業当初から、限定メニューの提供やメニューの拡充はほとんど行わず、現在も、メニューの主軸は「中華そば」の「塩」「醤(しょう)油」の2本柱。

スープは、数種類の煮干し・鰹(かつお)の削り節・うるめ節・昆布などから採った魚介出汁(だし)と、老鶏の丸鶏・鶏ガラから採った出汁とをブレンド。「塩」には、カドが取れた口当たりまろやかな塩ダレを用い、出汁の存在を高らかにフィーチャー。他方、「醤油」は生揚げ醤油に本味醂(みりん)の甘みを寄り添わせた主張の強いタレで、出汁とダイナミックに拮抗させる。

「一時期は夜も営業していましたが、私自身が主体的に全ての仕込み、ラーメンづくりを行うスタイルを貫徹するため、今は、昼営業のみで、1日100食限定提供を貫いています。自分が納得して全てのお客さまと向き合えるスタイルを今後も守っていくつもりです」。数多くのラーメン店に足を運んできたマニアでさえ、驚嘆するほどのこだわりようだ。

そんなラーメンに対するストイックな姿勢は、スープのみならず麺にもあまねく投影される。「ツルンと滑らかなうどんのような麺肌と、噛(か)むと顎を押し返すようなモッチリとした食感。両方の特徴を兼ね備えた麺を作ろうと、研究に研究を重ねました」と笑う。試行錯誤の結果、強力粉を巧みに活用することで、55%の加水率を誇る超多加水麺を実現。「小麦本来の薫りをお客さんに味わってもらいたくて、必ず打ち立ての麺を使うようにしています」

実力店で修業し、屋号に自身と最愛の子の名を冠した店主の矜持(きょうじ)が、随所に垣間見える至高の「中華そば」。食べ初めから食べ終わりまで、寸分の隙すら見いだす余地はなかった。

宍道湖しじみ中華蕎麦琥珀(こはく)【雑色】

令和元年初日に誕生した都内南部エリアの超実力店。改良を重ね、ますます切れ味鋭く

令和元年5月1日。

30余年の長きにわたって続いた「平成」が終わり、「令和」が幕を開けた初日に雑色(大田区)の地に産声を上げた『琥珀』は、開業から1年がたとうとしている今、「日ごとに進化するラーメンを提供する店」として、その名を全国へと轟かせる正真正銘の名店へと成長を遂げた。

ロケーションは、京浜急行電鉄本線雑色駅から徒歩5分強。駅前から長く伸びた商店街は、古き良き下町風情が漂う情緒的な趣。地元に深く密着した商店街の雰囲気を肌身で感じながら歩みを進めると、やがて現れるJR線の踏切。その踏切に折り重なるようにして視界に飛び込んでくる長蛇の列こそが、同店のランドマークだ。

メニューは「宍道湖しじみ中華蕎麦(塩)」と「地鶏としじみの中華蕎麦(醤油)」の2種類。いずれも甲乙つけがたい逸品だ。

「母が17年間営んでいた店を譲り受け、1年間、切り盛りしてきましたが、振り返ってみれば、常にレギュラーメニューのブラッシュアップを意識しながら、ラーメンづくりに取り組んできたような気がします」

そう言って笑う岩田裕之店主は、都内を代表する名店『ほん田』の下で研鑽(けんさん)を重ね、満を持して独立したすご腕。これまでの経験から、レギュラーメニューの味をしっかりと固めることがラーメン職人として最も大切であることを、よく理解しているのだ。

「『ほん田』での修業時代に出あった『蜆(しじみ)ラーメン』の味に感銘を受けましてね。それが、蜆を用いたラーメンを作りたいと思ったキッカケです」。その後も、その時に抱いた鮮烈な印象が脳裏から離れず、『琥珀』の開業に向けてラーメンを開発するに当たり、何のためらいもなく、出汁に用いる素材の主役として「蜆」を指名。全国各地の産地から蜆を取り寄せ、それぞれの持ち味を徹底的に研究したという。最終的には島根県・宍道湖へと赴き、業者に自らの経営ビジョンを熱く語ることで、低コストでの仕入れを実現した。

「開発の過程で、自分が手掛ける中華そばと最も相性が良い蜆は、宍道湖産だと確信。経営ビジョンについて業者さんからの賛同が得られた時は、飛び上がるほどうれしかったですよ」。長年にわたる蜆への想いが結実した瞬間だった。

スープが口内へと飛び込んだ刹那、気品ある蜆の香りがそよ風のように鼻腔(びこう)へと駆け抜け、間髪を入れず、貝由来のコハク酸のうま味が味蕾(みらい)をしっとりと潤す。「中華蕎麦(醤油)」のスープにあっては、地鶏に由来するイノシン酸の滋味が、食べ手の味覚に更なる追い打ちをかける。スープが喉元に触れた後の余韻から演繹(えんえき)れる岩田店主の技量の高さは、並大抵のものではない。食べ手は鳥肌を立てるしか為す術がない。

スープに加え麺もまた、こだわりの塊だ。

名門『菅野製麺所』から多種多様なサンプル品を取り寄せ、試食を重ねた上で厳選。「細麺」と「手もみ太麺」の2種類から指定できるが、特におススメが手揉(も)み麺。

「この手揉み麺は、『菅野製麺』の全面協力の下、半年近くの時間を掛けて完成にこぎつけました」。まさに、心血を注いで創り上げた会心作だ。

多加水麺だとはにわかには信じられないほど、スープのうま味をよく吸収する手揉み麺は、スープを持ち上げるというより、スープを「その身に纏(まと)う」というイメージがふさわしい。まさに『琥珀』ならではの絶品だ。

ひと啜(すす)りする度に加速化する箸を持つ手に、食べ手は脱帽すること必至だろう。

(ラーメン官僚 田中一明)

田中一明
1972年11月生まれ。高校在学中に初めてラーメン専門店を訪れ、ラーメンに魅せられる。大学在学中の1995年から、本格的な食べ歩きを開始。現在までに食べたラーメンの杯数は1万4000を超える。全国各地のラーメン事情に精通。ライフワークは隠れた名店の発掘。中央官庁に勤務している。

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