根拠のない恐怖に惑わない 最新刊で知るコロナの実体

確度の高い情報を書籍から得る
確度の高い情報を書籍から得る

国内で新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからほぼ3カ月。ウイルスの正体については、いまだに不明な点が多い。このことが私たちの恐怖を増幅させる一因にもなっている。身を守る行動を取るためには適切な知識が極めて重要だ。「コロナ」に関連するテーマの緊急出版物や最新刊の中から感染防止や暮らしの安全に役立つ書籍を紹介する。

大型客船の感染状況を点検

ゴールデンウイークは「ステイホーム(家で過ごそう)週間」になった。ストレスの多い「巣ごもり」を根気よく続けるには、外出自粛が必要な理由をきちんと納得することが大切だ。岩田健太郎著『新型コロナウイルスの真実』(ベスト新書・2020年4月)は、新型コロナウイルスがなぜ怖いのかを正しく理解するのに役立つ。岩田氏は多くの感染者を出した大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗り込んで対応を試みた感染症専門医の第一人者。感染防止策の不備などを告発する動画を投稿したことでも有名になった。

「ウイルスと細菌の違いとは」「実際は風邪みたいなものなのか」「飛沫感染とは」……。こうした基礎的なことがらについて私たちはあやふやに理解していることが多い。本書は冒頭で、病気と向き合うために最低限必要な知識をわかりやすい言葉で解説している。さらにページをめくると「マスク着用でどれだけの感染防止効果があるのか」とか「どの程度の症状なら病院に行くべきなのか」といった具体的な問いへの答えが示されていく。著者はSARSが流行したときに北京滞在した経験があり、アフリカではエボラ出血熱の臨床にあたった。パンデミックの現場を熟知している専門家だけに、個人、コミュニティ、国家それぞれのレベルで取り組むべきリスク管理のあり方を説得力をもって論じている。

新型コロナについては、日を追うごとに次々と新しい事実が明らかになってくる。専門家の間でも、その解釈に大きなブレがあるのが実情だ。一方で、SNSなどを通じて拡散する誤った情報やフェイクニュースに振り回される局面も多い。そんな中で間違いなく言えることは、新型コロナウイルスが誰にとっても未体験であるという事実だ。「わからないことはわからない」と謙虚になることがもっとも大切だと著者は訴える。「適切な知識を身につけ、根拠のない恐怖や根拠のない安心に振り回されず、事実に基づいて『正しく』判断する」――。こうした態度こそ緊急事態で求められることを気づかせてくれる。

パンデミックの歴史を図解

1950年代にヨーロッパに出荷されるポリオワクチンの箱(『ビジュアル パンデミック・マップ 伝染病の起源・拡大・根絶の歴史』より)

パンデミックについては過去の歴史から学ぶことが多い。サンドラ・ヘンペル著『ビジュアル パンデミック・マップ 伝染病の起源・拡大・根絶の歴史』(関谷冬華訳、日経ナショナルジオグラフィック社・2020年3月)は、人類を苦しめてきた20種類の感染症を、感染拡大の様子が一目でわかる地図などを使いながら解説する図鑑だ。絵画や写真などの資料もふんだんに盛り込んであり、感染症の恐ろしさがひしひしと伝わってくる。小中学生からシニア世代まで、だれもが興味を持って学べる一冊だ。

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