出すお茶にまでこだわる 打ち合わせの実、細部に宿るクリエイティブディレクター 佐藤可士和(6)

写真はイメージ =PIXTA
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日本を代表するクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏。一日の多くは「打ち合わせ」で埋め尽くされているという。30を超えるプロジェクトが常時無理なく動いているという佐藤氏の仕事を支えているのは質の高い打ち合わせだ。文庫化された「佐藤可士和の打ち合わせ」から、同氏が実践する打ち合わせの極意をのぞいてみよう。

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《打ち合わせにおける気遣い》
 出すお茶にまでこだわれば、
 仕事はきっとうまくいく

仕事ができるかどうかは、小さな「気遣い」でわかる

「サムライ」では、毎年インターン希望者を募集しています。採用はポートフォリオ(作品集)を持参してもらって面接を行いますが、実際のところは、面接官の僕の前に立ち、名前を言って、ポートフォリオを出すところで、ほとんど合否は出てしまっています。ポートフォリオを見る前に、です。

ポートフォリオを見せるときに、きちんと僕向きにして渡せるかどうか。もっといえば、ポートフォリオが傷だらけだったり、ボロボロになったりしていないか。つまり、受け手の立場に立って、ポートフォリオを出せるか、ということです。これだけでも、僕が求める仕事ができるかどうかはすぐにわかります。

僕に向けて、天地を逆さに出したら、僕は作品集を逆さにして見てしまうことになります。ボロボロのポートフォリオは、「サムライ」のために手間をかけてポートフォリオを作り直さなかったということでしょう。

作品の中身は、実はほとんど気にしません。学生のレベルですから、もともと大きな差はないのです。それよりも、相手をきちんと気遣えるかどうか。そういうところにこそ、仕事ができるかどうかの本質は現れるのです。

相手がどう思うか、を想像できるかどうか。それなしに、いい仕事をするのは難しいのです。

相手の立場に立てば、やってはいけないこと、やるべきではないこと、きっとこうしたほうがいいだろうな、ということは想像がつくはずなのです。

なのに、それができていないとなれば、間違いなく仕事の現場でも同じことをします。クライアントにも、気遣いのできない行動をしてしまうかもしれない。これでは、とても心配になります。

いろんなことに気を遣えていない人は意外なほどに多いのです。洋服や持ち物ひとつで、あるいはちょっとした行動ひとつで、場の雰囲気が一気に変わってしまうということに気づくべきです。これが、仕事のクオリティに大きな影響を与えるのです。

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