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AI時代を生き抜く力は「勉強」だけでは身につかない

AI時代を生き抜く力は「勉強」だけでは身につかない

「我慢することができない」「すぐに感情的になる」「自己主張だけが強すぎる」……。今の新社会人に対してネガティブな印象を持つビジネスパーソンが多いのではないだろうか。その原因を子ども時代の過ごし方に探っていく一冊が、今回紹介する『伸びる子どもは○○がすごい』だ。ビジネス教育や子育てに詳しい心理学の専門家が豊富な現場体験に基づいて、我が子を「成功できる大人」に育て上げる方法をアドバイスしている。

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榎本博明氏

榎本博明氏

著者の榎本博明氏は1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒です。東芝の市場調査課で勤務した後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授などで研究の実績を積みました。その後、ビジネス教育を中心に研修や講演を行うMP人間科学研究所を設立して代表を務めています。著書に『かかわると面倒くさい人』『薄っぺらいのに自信満々な人』『その「英語」が子どもをダメにする』などがあります。

傷つきやすい若者たち

ビジネス研修で企業の人事担当者に接する機会の多い著者は、最近の中堅ビジネスパーソンがきまって「若手社員に違和感を口にするようになった」と言います。自身が40年近く学生たちと接してきた経験からも、若者の中には傷つきやすい感受性の持ち主が非常に多いと感じるそうです。

  ちょっと注意したり叱ったりすると、落ち込んで仕事が手につかなくなったり、ムッとした表情で言い訳したりする。ひどいときは、翌日から休んでしまったり、逆ギレして「傷ついた」「パワハラだ」と騒ぎ立てる。そうなるとややこしいため、うっかり注意することもできないという。
  上司がパワハラを疑われたケースをみても、とくに横暴なことを言ったわけでもなく、かつてなら何も問題にならなかったような軽い叱責だったりすることもあり、なぜあんなふうに感情的になるのかわからない、と戸惑いをみせる経営者や管理職も少なくない。
(第1章 「頑張れない」「我慢できない」――今の子ども時代に足りないもの 18ページ)

著者は、その理由が子ども時代の過ごし方にあると見ています。多くの親たちは、幼い子どもの頃から教育的な刺激を与えるのが好ましいという共通認識を持っています。しかし、重要なのは計算能力や読み書きの技術などではないということを、本書は解き明かしていきます。IQ(知能指数)が示すような知力を伸ばすのではなく、忍耐力や感情コントロール、共感性など心の在り方や社会性を培う能力をきちんと伸ばすことが重要だというのです。

その証左として、ノーベル賞を受賞したアメリカの経済学者ジェームズ・ヘックマンの研究成果が例示されています。彼は「人生のどの時点でお金をかけるのが効果的なのか」というテーマで興味深い分析を行いました。3歳から5歳までの子どもの集団に対して、「集中的に幼児教育や遊びの機会を与えて介入したグループ」と「介入しなかったグループ」と分けて、その後どのように成長していったかを観察したのです。

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