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青山学院大学陸上競技部監督 原晋氏

青山学院大学陸上競技部監督 原晋氏

今年の箱根駅伝で2年ぶり5度目の総合優勝に輝いた青山学院大学。大学陸上界をけん引する強豪に育て上げた原晋監督は2004年の就任以来、低迷していたチームの再建を進め、体育会の部活動のイメージも大きく変えた。選手の心をつかみ、毎年学生が入れ替わる中で強さを維持する組織づくりの要諦は「リーダーが常に明るさを持っていること」。そして本質を見抜いて問題を解決していく力だと説く。

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――リーダーに必要な資質とは何でしょう。

「まず挙げるとすれば、問題に対して逃げ出さずに対応する力だと思います。その問題の原因が組織にあるのか、個人にあるのか。責任の所在はどこにあるのか。調べていくと、人間関係が絡み、しがらみがぶら下がっていることもあります。実際に起きたことをひもといて、根本にある原因を特定する。その上で、ごまかさずに強い思いを持って向き合う姿勢を示すことが重要です」

「私が監督に就任した04年当時、チームには明確なビジョンがありませんでした。組織そのものにルールや選手が成長できるシステムがなかった。選手一人一人の意識も低く、箱根駅伝も『出られればいいかな』という程度。自分たちで勝ち取っていくんだ、という気持ちが希薄で、組織にも個人にも課題がありました」

――具体的に何から改革を始めたのですか。

「最初に出雲、全日本、箱根という学生三大駅伝を制覇するという目標を立てました。その中で、見逃さないように注意していた視点があります。選手が規則正しい生活を送れているか、ということです。我々は都内にある町田寮で共同生活をしていますが、当時は雨が降った日はサボってコンビニへ出かけ、休日はトレーニングの一環として休養が必要なのに飲み歩いて体調を崩す者がいました。どうやったらサボれるか、という理屈で物事を考えていたわけです。こうした態度を改めさせて、規則正しい生活を徹底させました。アスリートにとって体は資本。睡眠時間を確保し、1日の練習を充実させる。その一番重要な部分を外して枝葉を改良しても、組織の本質は変わらないと思ったのです」

「青学大陸上部には『感動を人からもらうのではなく、感動を与えることができる人間になろう』『今日のことは今日やろう。明日はまた明日やるべきことがある』『人間の能力に大きな差はない。あるとすれば熱意の差だ』という行動指針があります。時間はかかりますが、この哲学を共有させ、みんなが行動するように働きかけました。そして、勝つためにどのようなプロセスを踏めばいいのか。試行錯誤を繰り返し、10年以上かけて『青学メソッド』を作り上げました」

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