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売り上げ更新カップヌードル 若者つかむ「高コスパ」

学生消費 裏からみると…(4)

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NIKKEI STYLE

来年で発売50周年を迎える日清食品の即席カップ麺「カップヌードル」。最近では新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められる中で保存食としても脚光を浴びているが、もはや「国民食」と言っていいほどのロングセラーである。これほど売れ続けているのは、常に若者の心をつかみ続けているからだろう。マーケティングの秘密を探った。

インタビューに応じてくれたのは、同社でカップヌードルブランドを担当する白沢勉さんと谷内友樹さんだ。

「お湯を入れて3分待つだけ。持ち運びも簡単で、いつでもどこでも食べられる。発売当時から変わらないカップヌードルの価値が、今あらためて認められていると感じています」と語る白沢さん。この傾向は特に若者に関して顕著だという。

失敗したくない若者気質

「若者へのインタビューなど、調査を重ねて分かったのですが、現代の若者のキーワードは『失敗したくない』と『コスパ』です。さらに、この『コスパ』という言葉を突き詰めていくと、値段や量、味だけでなく、簡単にできること、さらには失敗しないことなどまで、そのすべてを『コスパ』という一言で表現していることがわかりました」

確かに若者と接していると、コストパフォーマンスを意味する「コスパ」という言葉をよく聞く。白沢さんが続ける。「もはや『コスパ』は、費用対効果だけを意味する言葉ではなくなってきているのです」。お湯を入れるだけのカップヌードルは、つくるのは極めて簡単で、ほとんど失敗のしようがない。まさに究極の高コスパ商品なのだ。実際カップヌードルはここ数年、最高売上記録を更新し続けている。

さて、カップヌードルといえば印象的な「攻めた」CMを思い浮かべる人が多いだろう。なかなか外部からはうかがい知ることのできないカップヌードルの宣伝戦略についても二人に聞いてみた。

2020年の現在から10数年前までさかのぼってみよう。例えば、2004年から05年までの「NO BORDER」や、06年から08年までの「FREEDOM 自由を掴め。」シリーズを覚えている人もいるだろう。そのころのカップヌードルのCMは、まさに「人類」を意識した壮大なテーマを掲げていた。

当時は宣伝担当だったという白沢さんは「『たかがカップ麺が何を言っているんだ』と言われたこともありましたが、それくらいの強いメッセージ性を前面に打ち出していました。CMソングにもMr. Childrenや宇多田ヒカルなど、若者に人気のアーティストを起用しています。当時は、若者ひとりひとりの生活スタイル、あるいは持っているものに、そこまで差がなかった時代です。ですから、マスメディアを通じて、エモーショナルなメッセージを訴えれば、多くの若者たちに届けることができていました」と振り返る。

CMも自分たちで「イジり」たい

ところが、SNSの発達・普及を背景に、この5~10年ほどはそれ以前と比べて若者の気質に大きな変化が見られるという。「『失敗したくない』という若者に対するコミュニケーションの取り方、メッセージのつくりかたは、感動的な王道路線よりも、『ちょっと話題にしたくなるような仕掛け』をたくさん盛り込んだものへと変えています。大上段に構えたメッセージではなく、自分たちがイジれる、SNSも含めて色々なところで友達と話題にしたくなることを重視しています」という。

壮大なテーマをドンと打ち出すCMはメッセージ性が強く心に残る半面、ともするとお説教くさくもなる恐れがある。いまの若者気質を考えると、上から目線は響かない。

以前であれば、面白いCMは口コミや学校での話題で広がっていったが、情報の伝わる速度や情報の広がり方も大きく変わった。YouTubeなどで、テレビじゃなくてもCMを見てもらえるようになった時代である。白沢さんは言う。「ネットで何度も見てもらえるという環境があるからこそ、情報量をつめこんだ、1回見ただけではわけのわからないようなとがったCMでも確実に届くようになっている部分もあります」

できるだけ短い時間で、消化しきれないくらいの情報量や刺激をつめこんで、後々それがSNSの中で皆が話題にしたくなる、思わず人に話したくなる、それをネタに盛り上がっていくようなものを意識しながらつくっているという。SNSを起点に盛り上がりがつくられれば、テレビやネットでニュースになり、情報が自走していく。「最終的には店頭でカップ麺を買おうかなと思った瞬間に、『カップヌードル』のことが思い浮かべばいいかなと」(白沢さん)

ここ数年は、誰もが知っている国民的コンテンツを青春アニメ化した「HUNGRY DAYS」シリーズが話題となっている。『魔女の宅急便』『アルプスの少女ハイジ』『サザエさん』『ONE PIECE』などがそれだ。根強いファンのいる著名なコンテンツをCMにする場合、様々なリスクがある。それでも、徹底的にこだわったうえで攻めるという姿勢を貫いている。

もちろん、カップヌードルは若者のものだけではない。若者に対する意識を強く持ちつつも、パッケージそのものや味わいは普遍的なところを残し、変えるものと変えないものを明確に切り分けている印象を受けた。約50年の歴史を持つブランドだけに、若い頃から食べていた人はもはや中高年になっている。最近は塩分を控えめにした「ソルトオフ」も登場したほどだ。それでも、カップヌードルはこれからも若者の心を大胆につかみにいくだろう。世の中の声に耳を澄まし、そして大きくイメージを裏切る「攻め」の戦略で。

常見陽平(つねみ・ようへい)
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て、千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。

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