売り上げ更新カップヌードル 若者つかむ「高コスパ」学生消費 裏からみると…(4)

常見陽平(千葉商科大学准教授)

常見陽平(千葉商科大学准教授)
2020/5/21
日清食品の担当者にカップヌードルのマーケティング戦略を聞いた
日清食品の担当者にカップヌードルのマーケティング戦略を聞いた

来年で発売50周年を迎える日清食品の即席カップ麺「カップヌードル」。最近では新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められる中で保存食としても脚光を浴びているが、もはや「国民食」と言っていいほどのロングセラーである。これほど売れ続けているのは、常に若者の心をつかみ続けているからだろう。マーケティングの秘密を探った。

インタビューに応じてくれたのは、同社でカップヌードルブランドを担当する白沢勉さんと谷内友樹さんだ。

「お湯を入れて3分待つだけ。持ち運びも簡単で、いつでもどこでも食べられる。発売当時から変わらないカップヌードルの価値が、今あらためて認められていると感じています」と語る白沢さん。この傾向は特に若者に関して顕著だという。

失敗したくない若者気質

「若者へのインタビューなど、調査を重ねて分かったのですが、現代の若者のキーワードは『失敗したくない』と『コスパ』です。さらに、この『コスパ』という言葉を突き詰めていくと、値段や量、味だけでなく、簡単にできること、さらには失敗しないことなどまで、そのすべてを『コスパ』という一言で表現していることがわかりました」

確かに若者と接していると、コストパフォーマンスを意味する「コスパ」という言葉をよく聞く。白沢さんが続ける。「もはや『コスパ』は、費用対効果だけを意味する言葉ではなくなってきているのです」。お湯を入れるだけのカップヌードルは、つくるのは極めて簡単で、ほとんど失敗のしようがない。まさに究極の高コスパ商品なのだ。実際カップヌードルはここ数年、最高売上記録を更新し続けている。

さて、カップヌードルといえば印象的な「攻めた」CMを思い浮かべる人が多いだろう。なかなか外部からはうかがい知ることのできないカップヌードルの宣伝戦略についても二人に聞いてみた。

2020年の現在から10数年前までさかのぼってみよう。例えば、2004年から05年までの「NO BORDER」や、06年から08年までの「FREEDOM 自由を掴め。」シリーズを覚えている人もいるだろう。そのころのカップヌードルのCMは、まさに「人類」を意識した壮大なテーマを掲げていた。

当時は宣伝担当だったという白沢さんは「『たかがカップ麺が何を言っているんだ』と言われたこともありましたが、それくらいの強いメッセージ性を前面に打ち出していました。CMソングにもMr. Childrenや宇多田ヒカルなど、若者に人気のアーティストを起用しています。当時は、若者ひとりひとりの生活スタイル、あるいは持っているものに、そこまで差がなかった時代です。ですから、マスメディアを通じて、エモーショナルなメッセージを訴えれば、多くの若者たちに届けることができていました」と振り返る。

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