休校中の運動不足「遊び」で解消 親も子から教わろうコロナ危機から子どもを守る(下)

2020/4/28

ゲームに夢中な子には?

――電子ゲームから離れない子どもに、どう運動を促したらいいでしょうか。

「電子ゲームが悪いわけではない。遊ぶ経験が少ないから、体を動かすことの本当の面白さがわからないんだと思う。だれかにプログラミングされたものや、親から『やれ』と言われたものより、自分で遊び道具をつくったり、それでだれかと一緒に遊んだりする方が断然、楽しい」

「例えば、新聞紙を丸めてアルミホイルで包めばボールができる。ちょっとしたバットや剣もできる。大いに体を動かす遊び道具になり、体に当たっても大して痛くない。うまくつくれなかったり、壊れたりしたら、子どもはもっといいものをつくろうと考える。そこを大事にしてあげたい。既製品より自分で作った道具で遊んだ方が面白いんだから」

――「ほめる」ことが重要になりますか。

「無理にほめる必要はなくて、ちゃんと子どもに反応すればいい。できないこともあるだろうが、遊びなのだから、なんど失敗したっていい。面白さというのは、できなかったことが、だんだんできるようになる、そのプロセスにあると思う」

「体をよく動かせば、ちゃんとおなかもすいて、ぐっすり眠れる。それを子どもが体で覚え、大人が言葉で伝えてあげれば、よい生活リズムをつくれるはずだ。それで早寝早起きと昼寝の習慣が身につけば、親も自分の時間をつくりやすくなるだろう」

――休校の長期化に対応するためのオンライン授業の可能性をどうみていますか。

「文部科学省は今、児童・生徒に1人1台の端末を用意する『GIGAスクール構想』を進めているが、これが5年早かったら、よい意味で状況は違ったと思う。双方向のオンライン授業ができる学校なら効果的だが、それはごく一部だ。ネット環境のない家庭だってある。現時点で期待しすぎてはいけない」

「学習の遅れなどを、どうカバーしようか、学校の先生たちは真剣に考えているはずだ。科目ごとに自宅学習の課題も用意し、一人ひとりをフォローするための計画も必死につくっているところだろう。何もやっていない学校はないはずだし、そこは信頼していいと思う。電話を使って子どもが先生にわからない問題を聞いたり、先生が生活の様子を尋ねたり、その子にあった学習法を一緒に考えたりすることが大事になる」

――親子関係で特に気をつけるべきことはありますか。

「テレビを見ていたら、ある母親が子どもの前で『子どもと一緒にいる時間が長くなって余計にストレスがたまる』という趣旨の発言をしていて驚いた。その子の固まった表情が忘れられない。お母さんが、自分と長くいるのがつらいなんて、信じたくもないだろう。子どもとの時間は本来、親のストレスをやわらげてくれるものなのに、『子育て=親のストレス』という発想が先行しすぎているのではないか」

「自分もかつて子どもだったことを忘れ、子どもゆえの不安や苦しさを考えられなくなった大人の弱点だ。子ども時代の自分が幸せを感じた言葉や遊びを、よく思い出してほしい。その遊びは、きっと今やっても面白いから、子どもと楽しめる。一緒の時間が長ければ、普段できなかったことができ、それによって気づけることもたくさんあるはずだ。大変な状況だが、親子が長く一緒にいられる今を大事にしてほしいと思う」

中村和彦
1960年、山梨県生まれ。山梨大学教育学部卒、筑波大大学院体育研究科修了。2011年に山梨大教授、16年から同大教育学部長。17年からスポーツ庁スポーツ審議会健康スポーツ部会メンバーも務めている。「パプリカ」のダンスのほか、NHK番組「おかあさんといっしょ」の「ブンバ・ボーン!」体操も監修した。

(聞き手は天野豊文)

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