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有森裕子 スポーツ界、一人ひとりの精神力試される

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、ついに緊急事態宣言が全国に拡大されました。テレワークが始まって働き方が変わったり、予定の変更を余儀なくされたりと、いつもと異なる日常に戸惑われている方がたくさんいらっしゃると思います。精神的にも疲れが出てくるころです。感染予防はもちろんのこと、メンタル面でもくれぐれも体調管理には気をつけてください。

コロナウイルスの終息があっての五輪

新型コロナウイルスの猛威の前に、東京五輪もついに2020年の開催を断念し、1年延期することが正式に決まりました。延期後の日程は、2021年7月23日から8月8日と発表されました。

とはいえ、このウイルスの感染終息の見通しはいまだ立っていません。仮に日本で終息したとしても、世界での流行が収まらない限り、1年後に無事開催できる保証はありません。外出自粛要請が続く中、五輪代表候補選手の練習拠点である味の素ナショナルトレーニングセンターも使用停止になり、選手たちが五輪開催に向かって全力で準備できる状況でもありません。

内外の五輪代表選手や元代表選手の中にも、新型コロナウイルスに感染した人が出てきました。とにかく今は五輪よりも、スポーツ界が一丸となって、このパンデミック(世界的大流行)の終息を目指すことを第一に考える時だと思います。

既に、SNSなどを使ったアスリートによる自主的な発信は始まっています。世界各国のトップアスリートが、家でできるトレーニングやチャレンジ企画などを公開し、家で過ごすことの重要性を呼びかけるメッセージを発信しています。陸上選手も「いまスポーツにできることリレー」というコンセプトで、トレーニングやストレッチ、栄養学を生かした料理などの動画を、SNSを介してリレー方式で発信しているようです。

私が理事長を務めている、知的障がいのある人にスポーツを通して自立や社会参加を応援する非営利組織「スペシャルオリンピックス日本」も、現在全てのプログラムの活動を休止しています。ただ、「Be with all」という組織のビジョンの通り、社会的距離(ソーシャルディスタンス)は離しても、心の距離は近づけてこの状況をみんなで乗り切ろうと、SNSなどを使ってつながる方法を始めました。

こうした個人、あるいは個別の団体の動きとは別に、例えば日本オリンピック委員会(JOC)や全競技団体が主導する形で、アスリートが一丸となって「皆でコロナ感染拡大を食い止めよう」というメッセージを打ち出すキャンペーンを行っても良いのではないかと思います。五輪は、世界のトップアスリートが集う平和の祭典であり、社会貢献の役割も担っていると私は考えています。聖火リレーができない代わりに、コロナ拡大を抑えるためのマインドリレーを行いましょう。コロナの終息あっての五輪開催です。

どうか創意工夫を凝らして新しい練習方法を見つけてほしい

東京五輪の延期決定後、気持ちを切り替えて前向きに進み出したアスリートは増えてきましたが、この夏の五輪のために日々苦しい練習を積み、ベストな状態で挑めるように準備していた彼ら彼女らの気持ちを考えると、本当に気の毒に思います。しかも、コロナウイルスとの戦いが長期戦の様相を呈している今、多くの競技では代表選考会の日程も決まらず、どのようにトレーニングの計画を立て、どこにピークを持ってくればいいのかも分からない状態が続いています。感染予防のため、練習に集まることができず、選手同士が接触する競技では特に、トレーニングにも大きな制約が出てしまっていることでしょう。

とはいえ、そうした厳しい状況は海外のトップアスリートも同じです。いまだかつてない状況の下での戦い方は、誰にも分かりません。コロナウイルスに恨み言を言っても仕方がないので、この現状を受け入れて、たくさんの知恵を絞り、ありとあらゆるアイデアと方法論を模索していくしかありません。

例えば、トレーニング場所が外であれば、密集しないように時間差で人数を決めて使うとか、人と競いながらのトレーニングができないのであれば、自分でタイムを測って練習するなども考えられます。競技の特性によって、やれること、やれないことが異なると思いますが、身体感覚の鈍化を少しでも抑えるために、新しいトレーニングを見つけるつもりで、創意工夫を凝らしていくことが大事になってくるでしょう。もともとトップアスリートのトレーニングは孤独な戦いですから、個々の能力や精神力がさらに試されることになるのではないでしょうか。

そんな選手たちをサポートする指導者の皆さんは、五輪で選手に結果を出させるという重責を感じながら、もどかしい思いをされていることと思います。状況が刻々と変わる中、指導者の皆さんも、これまでのやり方にとらわれない発想力や、選手を少しでも不安にさせないような精神面でのサポート力が試されるときです。私も、オリンピアンOGとしてもし力になれることがあれば、いくらでも一緒に考えて力になりたいと思っています。

MGCで選ばれた代表選手の価値は、1年先も揺るがない

五輪代表の選考に関しては、既に代表に決まっていた選手が1年後も代表権を保持できるか否かという議論が持ち上がっていますが、こればかりは競技の特性によって異なる気がします。そもそも今は選考会すら開催できないわけですから。

マラソンに関しては、既に代表に決定した男女各3選手が、そのまま代表として2021年の東京五輪に挑むことが決定しています。これは、選手の気持ちを考慮したということ以前に、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)という入念な選考方法で選ばれた選手であるということが、大きな理由になっています。

MGCでは、3年という準備期間を設定し、規定のタイムを突破した選手だけが出場できるMGCという舞台を用意して、そこで勝ち残った選手を代表に選んでいます。さらに最後の1枠は、ファイナルチャレンジとして、MGCよりも一段高いハードル(設定記録)をクリアした選手を選びました。

いくつものハードルを乗り越え、どんな状況にも順応して結果に結びつけた選手が選ばれているのですから、1年延期であれば、問題はないはずです。けがの功名ではないですが、このような選考方法を選んでおいて良かったなというのが、私の率直な思いです。代表選手の皆さんは、落ち着いて、今できる準備を粛々と進めてほしいと思います。

2021年の五輪は春に開催されるのではないか、だったら東京でマラソンが開催できるのではないかという声もありましたが、結局、夏になりました。開催時期がどうであれ、マラソンの開催地が再び変更されなかったことに関しては安堵しています。

突然降って湧いたマラソン開催地移転で、北海道の現場は大変な思いをしながら準備を始めていました。それをまた東京に戻すというのは、あまりにも虫のいい、身勝手な話です。準備に奔走する現場のスタッフや選手たちを、これ以上振り回してはいけません。開催が1年先に延びたことで、北海道は少し余裕を持って準備できますし、例えばコロナウイルスの流行が終息したら、選手たちだけ、道内在住の人たちだけといった少人数参加の大会を開いて、そこで試走ができるような案も生まれるかもしれません。もしそんなチャレンジを実施するなら、私は喜んで応援に駆けつけたいと思っています。

(まとめ:高島三幸=ライター)

[日経Gooday2020年4月15日付記事を再構成]

有森裕子さん
元マラソンランナー。1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

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