日経Gooday

MGCで選ばれた代表選手の価値は、1年先も揺るがない

五輪代表の選考に関しては、既に代表に決まっていた選手が1年後も代表権を保持できるか否かという議論が持ち上がっていますが、こればかりは競技の特性によって異なる気がします。そもそも今は選考会すら開催できないわけですから。

マラソンに関しては、既に代表に決定した男女各3選手が、そのまま代表として2021年の東京五輪に挑むことが決定しています。これは、選手の気持ちを考慮したということ以前に、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)という入念な選考方法で選ばれた選手であるということが、大きな理由になっています。

MGCでは、3年という準備期間を設定し、規定のタイムを突破した選手だけが出場できるMGCという舞台を用意して、そこで勝ち残った選手を代表に選んでいます。さらに最後の1枠は、ファイナルチャレンジとして、MGCよりも一段高いハードル(設定記録)をクリアした選手を選びました。

いくつものハードルを乗り越え、どんな状況にも順応して結果に結びつけた選手が選ばれているのですから、1年延期であれば、問題はないはずです。けがの功名ではないですが、このような選考方法を選んでおいて良かったなというのが、私の率直な思いです。代表選手の皆さんは、落ち着いて、今できる準備を粛々と進めてほしいと思います。

2021年の五輪は春に開催されるのではないか、だったら東京でマラソンが開催できるのではないかという声もありましたが、結局、夏になりました。開催時期がどうであれ、マラソンの開催地が再び変更されなかったことに関しては安堵しています。

突然降って湧いたマラソン開催地移転で、北海道の現場は大変な思いをしながら準備を始めていました。それをまた東京に戻すというのは、あまりにも虫のいい、身勝手な話です。準備に奔走する現場のスタッフや選手たちを、これ以上振り回してはいけません。開催が1年先に延びたことで、北海道は少し余裕を持って準備できますし、例えばコロナウイルスの流行が終息したら、選手たちだけ、道内在住の人たちだけといった少人数参加の大会を開いて、そこで試走ができるような案も生まれるかもしれません。もしそんなチャレンジを実施するなら、私は喜んで応援に駆けつけたいと思っています。

(まとめ:高島三幸=ライター)

[日経Gooday2020年4月15日付記事を再構成]

有森裕子さん
元マラソンランナー。1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

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