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男女の賃金格差、日本は給与4カ月分 先進国に遅れ

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NIKKEI STYLE

「イコール・ペイ・デイ」を聞いたことがありますか? 男女の賃金格差を見える化する指標です。男性が1年間に稼ぐ給与と同額を稼ぐために、女性がどれだけ長く働かなくてはいけないかを日付で示します。今年の場合、日本は5月6日です。つまり2019年1月1日に男女が働き始めたとして、男性の1年分の年収を手にするには、女性は4カ月強も長く働く必要があるわけです。

働く女性の国際ネットワーク、BPW(ビジネス・アンド・プロフェッショナル・ウィメンズクラブス)が08年にドイツで始めた啓発活動です。国内でも日本BPW連合会が12年から続けています。国や年によって賃金格差は異なります。日本の「イコール・ペイ・デイ」は昨年は5月13日だったので、1週間分改善しました。ただ欧州で賃金格差が大きいとされるドイツでも今年は3月16日です。日本の賃金格差は先進国の中では大きいままです。

日本で男女格差が根強い理由の一つは、女性の非正規雇用比率の高さです。19年「労働力調査(詳細集計)」によれば非正規比率は男性23%、女性56%。正社員より待遇が劣るパートや派遣社員などの多さが賃金格差につながっているようです。

今年4月に法改正で同一労働同一賃金が施行されました。雇用形態に基づく不合理な待遇格差の解消が狙いです。りそな銀行と埼玉りそな銀行は今月から、時間や業務を限定して働く「スマート社員」や、時給制で働くパート社員にも正社員と同様に子育て手当を支給します。派遣社員についても「派遣先企業と交渉し、待遇改善が進んだ」(パソナグループ)など動きがあります。同一労働同一賃金の導入により、男女の賃金格差も縮小すると期待されます。

ただ格差の原因はほかにもあります。シカゴ大学の山口一男教授は論文で、非正規比率の差で説明できる賃金格差は全体の36%にすぎず、正社員の賃金格差も見過ごせないと指摘します。一般的に給与は課長から部長、部長から役員へと職位が上がるほど増えます。女性管理職を増やす努力が格差改善に必要だと山口教授は分析します。

世界経済フォーラムは毎年世界各国の男女平等度を発表しています。日本は昨年、総合ランキングで153カ国中121位と過去最低に落ち込みました。賃金を含む所得格差が108位と低迷するなど経済分野での格差が総合順位を下げた要因です。日本BPW連合会理事長の平松昌子さんは「国内で女性活躍が進んできましたが、世界の進展速度は日本を上回っています。もっと急がないと世界に取り残される」と指摘します。

平松昌子・日本BPW連合会理事長「仕事の成果、正当に評価を」

男女の賃金格差は女性がどれだけ活躍できているかを知る重要な手掛かりです。日本は先進諸国の中で、いまだに最低レベルの水準にあります。いったい何が問題なのか。「イコール・ペイ・デイ」を毎年算出し、啓発活動を続けている認定NPO法人日本BPW連合会の平松昌子理事長に聞きました。

――イコール・ペイ・デイとは何ですか?

「男性と女性の賃金を比べると、男性の方が高い給与を得ています。これは世界各国に共通した現象です。どのくらい格差があるのか。分かりやすく伝えるために用いている指標です。私たちBPWは世界の100以上の国・地域が参加する国際女性団体です。イコール・ペイ・デイは2008年にドイツの団体が始めて、世界各国に広がりました。各国の統計データを基に毎年各地のBPWが独自に試算し、公表しています」

「日本では総務省の『賃金構造基本統計調査』を元に毎年公表しています。2019年の一般労働者の所定内給与(月額)は男性33万8千円に対して女性は25万1千円です。19年1月1日に男女が同時に働きだしたとしても、19年12月31日時点では女性は男性の年収の74.3%しか稼げていない計算です。残る25.7%を稼ぎ、格差を埋めるためには何日多く働かなくてはいけないのか。19年のデータに基づき計算すると、5月6日という日付が出てきました」

「日本では12年以降、毎年関連イベントを開いてきました。街頭に立ってPRパンフレットを配布したり、中央官庁や地方自治体、経済団体などに陳情活動を実施しています。今年は残念ながら新型コロナ感染拡大でイベントは中止になりましたが、来年以降も活動は続けていきます」

――5月6日という日付はどう評価すればよいのでしょうか?

「日本では13年以降、国を挙げて女性活躍推進に取り組んできました。13年のイコール・ペイ・デイは5月31日でしたので改善は進んでいます。もっと遡ると1990年は8月29日でした。男女雇用機会均等法や女性活躍推進法といった法制度の効果がうかがえます」

「ただ、欧州の中で賃金格差が大きいといわれているドイツでさえも3月16日です。日本も対策によって成果を上げていますが、改善のスピードはあまりにゆっくりで先進諸国の中ではまだ最低レベルの状況です。ドイツでは17年に男女賃金格差是正法が施行されました。日本でも今春、同一労働同一賃金の実現に向けて法制度が改定されましたが、男女の賃金格差に直接切り込む法制度ではなく、十分な対策とはいえません」

――日本の雇用慣行の何が問題なのですか?

「私が着目したいのは女性管理職比率の低さです。一般社員に比べて管理職は収入的に恵まれています。同じ正社員として就職しても管理職に昇格し昇給するのは圧倒的に男性です。初任給は同じであっても社歴を重ねるにつれ、男女で給与に差が開くのも必然です」

「この根底には長時間労働を是とする日本の職場風土があります。上司は残業や休日出勤を積極的にこなす部下を高く評価しがちです。女性は一般的に男性よりも、家事・育児といった家庭責任を重く負っています。純粋な仕事の成果ではなく、労働時間の長さを評価基準にされては女性は不利です。昨今、働き方改革が叫ばれ、長時間労働の是正が進んできました。長く働かなくても成果を出す社員をしっかり評価するようになれば女性管理職は今よりさらに増えて、男女の賃金格差も改善すると思います」

「給与の具体的金額を語るのは憚(はばか)られる風潮もあります。でも収入は自分の働きを周囲がどう評価しているかを知る重要な尺度です。男女で賃金に格差がある現状は、一生懸命働いてきた女性が仕事への評価を正当にされていない表れでもあります。そう思うととても腹が立ちます。国連は30年の未来を見越し、世界が目指す方向性をSDGs(持続可能な開発目標)としてまとめています。17個の目標には男女平等の実現や、経済成長と働きがいの両立も挙げられています。男女の賃金格差是正は男女平等のためだけでなく、女性の働きがいを高めるためにも重要な施策です」

(編集委員 石塚由紀夫)

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