7歳の少女のあまりのたくましさに胸を打たれた

えーと、ここでもうちょっと詳しく本の内容を説明したい。

この物語の著者であり主人公の比嘉富子さんは、沖縄戦が勃発した当時、お父さんと姉・兄の3人を含む計5人で暮らしていた。畑に出るお父さんのためにお弁当を作るのは当時6歳の末っ子、富子さんの仕事だ。

ある日、戦況が激しくなる中、お父さんは「万が一自分が家に帰らなかったら、一人ひとりが自分で考えて行動しなさい」ときょうだいに告げる。ある日それが現実になり、きょうだいは家を離れて避難を始めた。しかし、その混乱のさなか、富子さんはお姉さんたちとはぐれてしまう。

それからが、ものすごい。激しい爆撃の中で、7歳の少女によるたったひとりの逃避行が始まるのだ。崖から落ちたり、兵士に殺されそうになったりと何度も命の危機に遭いながら、水辺を探し、畑に植わった生の野菜を食べ、缶詰を拾い、草の汁を吸う日々。そして、何十日間もたった後に……。終戦を迎え、富子さんは生還する。タイトルの「白旗」は、富子さんがひとりで投降するときに掲げていた旗から取られたものだ。

読みながら、私は7歳の少女のあまりのたくましさと優しさに胸を打たれ続けた。

そうだ、そうだよ! この先は何が起こるかなんて誰にも分からない。戦争とまではいかなくても、長い人生の間には大災害やら事故やら何が起こってもおかしくない。だから富子さんのように、どんな状況でも生きられる能力こそが大切じゃないか。親としては、できる限り、そのサバイバル能力を娘に授けてあげなくては、というのが新米ママ、私の固い決意だった。

富子さんの驚異のサバイバル能力の原点は、小さい頃に覚えた「家事」にある。そう気がつくと、まずは身の回りのことから始めよう!と思いたち、まずは「一緒に家事をする」ということにトライしはじめた。

幸いにして、娘は3歳の頃から既に「おてつだい」大好きな子だった。私やI君が掃除や料理をしていると、「おてつだいしたーい! はやくやりたーい!」と大騒ぎが始まる。

ちなみに私の母は料理はプロ級に上手だが、同時にめちゃくちゃ完璧主義で、「おてつだい」にも常に完璧が求められた。そして、何かミスをすると「なんでこんなこともできないの」と強く叱責された。それが嫌で、私は成長するに従いむしろお手伝いから逃げ続け、大学を卒業するまで料理の一つもできなかった。よおし、うちの母の二の舞いは踏むまい!

ドラクエにチャレンジするがごとく、掃除や洗濯をマスター

最初はゲーム感覚でやれるものとして、「洗濯物の分類」から始めた。洗濯物の山を前に、「はい、この中からタオルを見つけて」「次は自分の服を見つけてみて」と娘に頼む。それがうまくいったら、今度は一緒に畳み、最後はしまう。ポイントは、タスクを細かく分類し、達成感を出すこと。そして、出来栄えにはこだわらず「わあ、助かるなあ、ありがとー」と褒めちぎることだ。すると、娘はすぐに調子に乗り、「もっと教えて」とさらに高度なことに挑戦したがった。

こうして娘は、ドラクエにチャレンジするがごとく、着実に掃除や洗濯をマスターし、4歳になる頃には「お料理がやりたいよお!」と言い出した。しめしめ。

今のところ料理に関しては、お米をとぐ、炊飯器のスイッチを入れる、ハンバーグを丸める、キュウリを切る、おかずを盛り付ける、というあたりまでは進んだ。しかし、さすがに「お弁当作り」はなかなか遠い道のりなので、これからも作戦の遂行は続く。

同時に、独自に進めてきたのが、セルフビルドの小屋を建設する「小屋プロジェクト」だ。これももちろん娘のサバイバルスキル構築の一環である。

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創作意欲はエスカレートし、小屋づくりを決意