きっかけは「ニセ西郷さん」 教育×IT起業家の目覚めatama plus 代表取締役 稲田大輔氏(上)

しかしすぐに起業へと動いたわけではなく、稲田氏は大学院修了後、三井物産に入社している。異分野の融合から、新しいビジネスのみならず、新しい産業を生み出したい――。そんな壮大な夢を抱き始めていた稲田氏にとって、「ラーメンから飛行機・ミサイルまで」といわれるほど幅広い商材を扱う商社は「おもちゃ箱のように映った」からだ。グローバルに事業展開していることも魅力だった。就職活動をする過程で、自分は何のために働きたいのかを突き詰めて考えたことは、のちに起業する基盤ともなった。

「出てきた答えは、『たくさんの人を笑顔にすること』でした。GDP=国内総生産ならぬGDS、SはスマイルのSで『国内総笑顔量』を増やすことだと。僕が人生でやり遂げたいのは、金もうけや有名になることではなく、人を幸せにすること、つまりは笑顔の総量を増やすことだと気づいたんです」

大学時代のテニスサークルでは、笑顔を引き出す盛り上げ役に徹した

そう考えるに至ったのは、大学のテニスサークルでの経験が大きかったと稲田氏は振り返る。テニスには中学から打ち込み、大学でも選手として団体戦で勝つことに執念を燃やしていた。だが、テニスで試合に出られるのはわずか数人だ。ましてや大学のサークルともなるとメンバーの中には、とりあえず入ったものの、テニスにはそれほど興味がない人や、飲み会にしか来ない人もいる。

「試合に出る選手だけが頑張っても勝てない。やはり最後に勝負を決めるのは、試合当日にどれだけ応援してもらい、チームが一丸になれるかなんです。そのためはどうしたらいいのか試行錯誤する中で、サークルのメンバーでいることが単純に楽しいと思えること。それが一番だろうと考えました。

そこで飲み会のためにコントや一発芸を入念に仕込み、盛り上げ役に徹しました。その結果、試合は順調に勝ち進むことができた。でも、試合に勝つこと以上に、人を笑顔にすること自体にすごく喜びを感じたんです。そこから、ビジネスにおいても、人の笑顔を増やす仕組みづくりをしたいと考えるようになりました」

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