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日本の教育にはイノベーションが150年間も起きなかったと、稲田大輔atama plus代表取締役はみる

日本の教育にはイノベーションが150年間も起きなかったと、稲田大輔atama plus代表取締役はみる

生徒に授業をするのはタブレットPCの中の「人工知能(AI)先生」、人間の先生はモチベーションを引き出す「コーチ」へ――。集団一斉授業が当たり前だった塾・予備校の授業風景が、AIの導入によって大きく変わり始めた。その仕掛け人の一人が、タブレット端末を使ったAI教材を塾や予備校に提供しているatama plus(アタマプラス、東京・品川)の創業者・稲田大輔氏だ。

同社が開発したAI教材「atama +」は、生徒の学習履歴などのデータからAIが一人ひとりのつまずきの原因を特定できる。ミスの傾向や集中度なども加味して、必要な学びポイントを最短で習得できるカリキュラムを自動的に作成する。個別指導塾から始まったatama +導入の動きは、今春、大手予備校にも及び、1000教室を突破。同社の取り組みには、学校現場からも注目が集まる。

折しも、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校措置で、ITを使った教育が日本は諸外国に比べ非常に遅れていることが浮き彫りになった。「日本では明治時代に現在の教育制度の原型ができあがって以降、ほぼ150年間、イノベーションが起きなかった。そこに風穴を開けたい」。稲田氏はそう力を込める。

イノベーションは多くの場合、異なる分野の融合から生まれる。アタマプラスが開拓するエドテック分野も教育(Education)とテクノロジー(Technology)の掛け合わせだ。稲田氏が、異分野の掛け合わせの面白さに気づいたのは、東京大学工学部電子情報工学科の卒論がきっかけだった。

顔画像を認証する情報処理技術を研究していた稲田氏は、ある日、歴史好きの友人から聞いた話が気になった。有名な西郷隆盛の肖像画は、本人の写真がなかったので、弟の西郷従道といとこの大山巌の写真を参考に描かれた。ところがある屋敷からついに西郷隆盛の写真が発見されたというのだ。

「僕が開発に取り組んでいた顔認証技術で西郷さんの写真の真偽を確かめ、それを卒論にしようと思いつきました。結果は、西郷さんのものだと話題になっていた写真は、全く別人のものだとわかりました。せっかくの『大発見』を僕の研究が幻にしてしまったわけですが、『特命リサーチ200X』という番組がこの話を取材して放送し、反響を呼びました。僕が使った技術自体は特段すごいレベルではなかったけれども、工学と歴史学という異なる分野を掛け合わせたことで、大きなインパクトが生まれた。これは面白いなと思いました」

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