これはその企業体の考え方と場や状況次第というほかありません。服装には場の雰囲気を伝え、着る人の意図を伝える機能があります。スーツが長くビジネスの場で用いられているのは、仕事にふさわしい雰囲気を容易に醸し出せるからです。「着ないとダメだから」と意味もわからず着ていては間違えます。
そう考えると、同じビデオ会議でもどういう目的でどういう雰囲気を出すべきなのかで選ぶものが違ってきます。ブレインストーミング的なフリートークや雑談も交えた業務連絡を内々でするなら、ゆったりしたカジュアルでもいいと思いますが、他部署と共にきちんとした方針を決めようというときにはもう少しビジネスらしい服装のほうがいいはずです。
また、他社の人が相手であれば、自分の服装が会社の姿勢を示すのにふさわしい格好かどうかを考慮すべきです。また、複数で相対するなら同じ会社の人間同士に雰囲気の統一感があることも重要でしょう。1人がスーツで別の1人は非常にカジュアルといった違いが出ると、相手もとまどうのではないでしょうか。これらを考えて、社内や部内でそれとなく、ドレスコードは定めておくべきだと思います。
そして、「できる男」ならいくらカジュアルでいいとなってもTシャツやフーディーは合いません。気楽すぎて、役割にふさわしい責任感を感じにくいアイテムだからです。カジュアルでもテーラードジャケットをさっと羽織るくらいはすべきです。モニター越しであっても、人と相対するときには服装でそれなりの敬意を見せられるのが「できる男」にふさわしいスキルと思ってください。
「テレワークでいちばん困るのはオン/オフの切り替え」と言っていた人がいました。対面で会う人がいなければ手を抜きたくなるのは人情ですが、流されてしまうと、緊張感の持ちようが難しく生産性も期待できません。また、手を抜いてだらけている状態って、意外とモニター越しでも相手に感じられてしまうものです。やる気を完全に疑われてしまいそうですね。結局自分が損をします。
外出を控える時期といっても、自律性をきちんと保っていたほうが現在も後からも気分は楽だと思います。ふだんとあまり変わらない時間に起き、通常と同じように身だしなみを整えることで、気分もおのずとオンになります。

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