お金の流れを変えてみる ためるコツと便利な仕組み
お金を使うのはとても簡単です。それに比べて、「お金をためるのは難しい、だからなかなかためられない」と嘆くのは「たまらない女」である証拠。実はためるのは少しも難しくありません。お金の流れをちょっとだけ変えること、そしてそのためのツールを活用すること。これだけで「たまる女」になれます。
「収入-貯蓄=支出」の形に
お金をためるにはどうしたらよいでしょう。答えはとてもシンプルです。入ってきたお金を全部使うのではなく、一部をとっておけばよいのです。それを毎月のお給料やボーナスでコツコツ続けていくと、いつしかまとまった額の貯蓄ができるわけです。
「使わずにとっておく」にはコツがあります。例えば、給料を受け取って、そこからいろいろなものを支出して、残ったお金をためようとしても、「今月は使いすぎて残らなかった」ということになることもあります。「収入-支出=貯蓄」ではうまくいかないのです。
そこで、お金の流れを逆にします。給料を受け取ったら、まず一定額を貯蓄して残りを支出に回します。「収入-貯蓄=支出」の形にして、貯蓄分を先取りするわけですね。こうすれば、毎月着実にためられます。
先取り貯蓄をするには、そのための仕組みを活用しましょう。
勤務先が「財形貯蓄」を扱っているなら、ぜひ利用してください。自分で決めた額が毎月給料から天引きされて積み立てられていくので、給料を受け取ったときにはすでに貯蓄ができていることになります。積立額は1000円以上1円単位で決められるのが一般的で、ボーナス月は積立額を増やすこともできます。
勤務先に財形貯蓄がない人やフリーランスの人などは、銀行の「自動積立定期預金」を利用してはどうでしょう。毎月決まった日に自分で決めた額が銀行口座から引き落とされて、定期預金として積み立てられていく仕組みです。会社員なら、給料が振り込まれる口座から給料日の翌日に引き落とされるようにしておけば、定期預金に移し替える手間がかからず、残高不足で積み立てられないということもありません。申し込み手続きは銀行の窓口のほか、ATMあるいはネットでできる銀行もあります。
最初は3000~5000円から
ネット銀行が扱っている「自動入金サービス」を活用する手もあります。サービス名は銀行によって違うのですが、要するに、ネット銀行に別の銀行から一定額が定期的に入金される仕組みです。このサービスを使って給料の振込口座から毎月一定額がネット銀行の口座に自動的に移されるようにしておけば、ネット銀行にお金がたまっていきます。
先取り貯蓄を始めるにあたっては、毎月の積立額をいくらにするか決めなくてはなりません。ここで張り切りすぎて金額を多くすると失敗します。実際にこんなケースがありました。「財形貯蓄で毎月積み立てをしているのに、なぜかお金がたまらない」という悩みを抱えて相談にきた人の家計をよく見てみると、財形貯蓄で天引きされる額が多くて、残ったお金で生活費が賄いきれず、財形貯蓄からたびたび引き出してしまっていたのです。これでは積み立てをしている意味がありませんよね。
こんなふうにならないために、積立額を決めるとき、最初はムリのない範囲にすることが大切です。これまでほとんど貯蓄できていない人が、いきなり毎月何万円も積み立てようとしても挫折するのは目に見えています。最初は3000円とか5000円といったところから始めましょう。
すでに毎月お金をためているという人は、それに3000~5000円ほどプラスしてはどうでしょう。ちょっと頑張って積立額を増やすと、お金のたまり方が早くなりますよ。
財形貯蓄や自動積立定期預金、自動入金サービスを利用して「収入-貯蓄=支出」を実践すれば、手間をかけなくても自動的にお金がたまっていきます。必死に節約したり、お金のことばかり考えたりする必要はなく、知らず知らずのうちに貯蓄できるのですから「先取り貯蓄」をしない手はありません。
積み立ては早く始めれば始めるほどお金がたまります。「よし! 先取り貯蓄を始めよう」と思っても、先延ばしにして行動に移さないでいると、いつの間にか1年、2年、あるいは5年たってしまうかもしれません。思い立ったらすぐに始めることも大切です。
オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャルプランニング技能士。千葉大卒。法律雑誌編集部勤務、フリー編集者を経て、ファイナンシャルプランナーとして記事執筆、講演などを手掛けてきた。著書に「だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方」(ナツメ社)など。http://www.m-magai.net
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