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ロックダウンの世界8都市 地震計がとらえた静寂

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ナショナルジオグラフィック日本版

人間の活動は、さまざまな音を立てる。道路を走る車、頭上でとどろく飛行機、歩けば足音も響くだろう。これらの活動は地中で無数の小さな振動を生み出す。世界中に張り巡らされた地震計のネットワークは、そうした振動を年中無休で記録している。

ところが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受け、世界のリーダーたちが市民に自宅待機と社会的距離の確保を要請した結果、こうした日常生活の雑音はかなり小さくなったようだ。

地面の振動がやむことはこれまでもあったが、ほとんどの場合、ごく短期間だった。しかし、COVID-19は世界の人口密集地帯に長期間の静けさをもたらしている。各地の地震計ネットワークは、その変化をつぶさにとらえていた。

「私たち地震学者には人々の動きが見えるのです」と、ベルギー王立天文台の地質学者トーマス・ルコック氏は語る。

背景雑音が減少したことには別の利点もある。騒音にかき消されていた現象をより詳しく研究できることだ。

世界各地の静寂

ルコック氏は、自宅待機が地面の振動に及ぼす影響を家族や友人に見せるため、地元ブリュッセルにある観測所のデータを分析し、Twitterに投稿した。同様のパターンに気付いたのはルコック氏だけでなく、Twitterにはほかのデータも投稿されていた。これらのデータは世界中の科学者の関心を引き、スイス、スペイン、イタリア、英国、中国、ネパール、米国、ニュージーランドなどの都市で騒音低減の追跡が始まった。

「まだ低いままです!」。ルコック氏は2020年4月6日、ブリュッセルの騒音低減が続いていることを上機嫌にツイートした。ルコック氏は前例のない現象だと考えている。「世界規模でこのようなことが起きたのは初めてだと思います」

人の活動は明らかに減少していると科学者たちは指摘しているが、ルコック氏によれば、地震データだけから社会的距離戦略の効果を測ることは難しいという。人口密度や産業活動など、多くの要素に左右されるためだ。地震計が都市のどこに設置されているかさえ、振動の度合いに影響を及ぼすことがある。ブリュッセルでは、COVID-19が到来して以降、振動が平均より30~50%ほど減少している。クリスマス休暇中とほぼ同じだ。ネパールの一部の都市では、振動が80%も減少している。

好奇心から始まった観察だが、地震学の研究に役立つ可能性もある。米カリフォルニア工科大学の博士課程で環境地震学の研究に取り組むセレステ・ラベズ氏は「背景雑音が減少した状態は、静かな部屋にいるようなものです」と説明する。「つまり、より多くの音が聞こえるということです」

自主隔離による静寂のおかげで、これまで見逃していた微弱な地震や遠くの地震も検知できるようになる。川の流れる音をはじめ、地球のざわめきを研究する機会が生まれる可能性もある。ラベズ氏によれば、川の流れは人の活動と周波数帯域がよく似ているという。

ある研究チームは、米カリフォルニア州パロアルトの地下に敷かれた光ファイバー網で地震ノイズを記録することで、振動をより細かく分析している。光ファイバー網は地震計による1地点の計測と異なり、何百カ所もの騒音を計測できると、米スタンフォード大学の地震学者ネイト・リンジー氏は言う。

初期の分析結果も出ている。高速道路の交通量が減少しても、病院の近くには騒音が残っていた。光ファイバー網のデータは精度が高いため、車が一台通り過ぎる様子さえキャッチできる。リンジー氏と一緒に研究を行う同僚のスーユアン・ユアン氏は、これほど細かく交通を調べることができれば、将来、危機に直面した際、当局が人々の動きを管理するのに役立つかもしれないと述べている。

ルコック氏は大量の地震データを論文にまとめるため、20年4月1日に研究者の募集を開始。わずか2日足らずで、26人のボランティアが集まった。研究の目的は社会的距離戦略の効果を検証することではない。前例のない地球規模の静寂を多くの科学者に分析してもらうことだ。

地震学者たちにとっては、この研究はパンデミックの不安を忘れるための良い気晴らしになっている。「私たちは皆、心の中に大きな不安を抱えています。そのため、自分の専門知識を生かし、何かができるというのは素晴らしいことです」とラベズ氏は語る。「私たちは今、前向きかつ有益な方法で忙しくしています」

次ページでも、人気のいない世界の都市と地震計の記録をご覧いただこう。

(文 MAYA WEI-HAAS、図 TAYLOR MAGGIACOMO、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年4月10日付の記事を再構成]

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