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トイレットペーパー以前 人はどうやってお尻拭いた?

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

新型コロナによるパニックで、トイレットペーパーの買い占めが起きている。スーパーや薬局へ買いに走る時、あなたは何を思うだろうか。いつでも買えたあの頃を思い出すかもしれないし、トイレットペーパーがなかった時代に人々は何を使ってお尻を拭いていたのだろうと思いをはせるかもしれない。

現在、世界の何億人かは、トイレットペーパーがないからといって困ることはない。紙を使う代わりに、水で洗うからだ。しかし、昔から世界の人々は様々な方法で尻を拭い、考古学者や人類学者はその歴史を解き明かしてきた。世界の「尻拭い」の例を紹介しよう。

古代ローマのスポンジ棒

古代ローマの公衆トイレでは「テルソリウム」を使って尻を拭いていた可能性がある。この古代の道具は、棒にスポンジを付けたもので、酢や塩水に浸して使った。テルソリウムは、様々な古代ローマの文献で言及されている。なかでも、哲学者セネカが役人ルキリウスに宛てた手紙の一節は、一度聞くと忘れられない。それはゲルマン人グラディエーター(剣闘士)の自殺に関する一節で、闘技場で動物に殺されるかわりに、「最も不潔な用途専用」のスポンジが付いた棒を喉に押し込んだという。

テルソリウムは当時の公衆トイレで共用されたと考えられる。足元にある小さな溝には水が絶えず流れ、テルソリウムを浸していただろう。だが、保存状態の良いテルソリウムは、これまで見つかっていない。「問題は、これを使ってきれいにしていたのが自分自身か便器かということです」と、米ペンシルベニア大学考古学・人類学博物館の博士研究員の考古学者ジェニファー・ベイツ氏は話す。

このスポンジ付きの棒に関する論争は、考古学者の間でもまだ決着していない。しかし、古代ギリシャや古代ローマにおけるトイレットペーパーに相当する「ペッソイ」の実物は、見つかっている。ペッソイは、楕円形や円形をした陶器の破片あるいは小石で、古代ローマや古代ギリシャのトイレの遺跡で発見された。男がしゃがんでペッソイを使う様子が、2700年前のカップにも描かれている。また、ペッソイは、ユダヤ教の聖典タルムードにも載っている。

トイレットペーパーが誕生する前の独創的な道具は、他の地域でも見つかっている。1992年、中国北西部にある古代シルクロードのかつての休憩所跡では、2000年前に使われた尻拭き棒が発掘された。

この休憩所跡のトイレから見つかったのは、布に包まれた7本の竹や木の棒、いわゆる「籌木(ちゅうぎ)」だ。棒を包んでいた布は排泄物らしきものにまみれていたため、分析したところ、人の腸で見つかる様々な寄生虫が含まれていることが確認された。

「籌木はトイレの特定の場所でのみ見つかっており、それに付いていた寄生虫はヒトに由来するものだけだったのです」とベイツ氏は話す。「トイレで使用されていたことは、間違いありません」。この発見は、古代の中国や日本で棒やへらが使われていたことを示す古文書によって裏付けられている。

中国は、トイレットペーパーの分野でも進んでいた。トイレットペーパーに関する最古の文献は、西暦6世紀の学者である顔之推(がんしすい)が書いたものだ。どうやら顔は、廃棄された経典を個人的な目的で利用できたようだが、あえて「賢人の名前」で尻を拭こうとは思わなかったと書いている。つまり、紙で尻を拭く習慣は、それ以前からあったと考えられる。紀元前2世紀の皇帝である武帝の墓で見つかったような麻紙は、あまりに粗雑でざらついているため、書くためのものではなく、トイレで使われたとみられる。

1393年までには、米から作られたトイレットペーパーが、中国皇室用に大量生産されていた。これに対し西洋では、1857年になってようやく、トイレットペーパーが大量生産されるようになった。この年、発明家のジョセフ・ガイエティーが、新聞やトウモロコシの芯といった間に合わせから尻を安らかにする試みとして、水洗トイレ用の「J・C・ガイエティーの医療用紙」を紹介した。

トイレは文化を映し出す

トイレットペーパーを買いに走る歴史的な先例もある。1973年、日本人は店の前に列を作り、大量のトイレットペーパーの買いだめを始めた。戦後日本の平和と安定が、オイルショックにより消し飛んでしまう恐れが高まったことへの反応だったと、米ウィリアムズ大学の歴史学者エイコ・マルコ・シニアワー氏は説明する。

この買いだめは、米国でも一定の恐怖をかき立て、米ウィスコンシン州のある下院議員が不足の可能性について声明を発表するに至った。73年、コメディアンのジョニー・カーソンが、TV番組「The Tonight Show」でその状況を冗談のネタにし、うかつにも短期的なトイレットペーパーのパニックを引き起こしたのだ。

「歴史学者として私は、人々の決断や行動を笑うのではなく、そのような行動を取った理由を考えます」とシニアワー氏は話す。73年のトイレットペーパー騒動は、当時の日本人の生活を垣間見る窓であると、同氏は考える。同様に、いにしえのトイレの習慣を研究することで、異文化の違いから性別、金銭、衛生の問題まで、あらゆることに光を当てることができる、とベイツ氏は言う。

「人類学的観点から、トイレの習慣が人類の発展にどのように関わったのかを見ることができるのです」と同氏は語る。

トイレ習慣は顧みられることがあまりにも少ないと、同氏は付け加える。しかし、その非常にありふれた行為が、私たちの過去や現在、そして次にどこに向かおうとしているのかについて重要な知見を与えてくれる。

(文 ERIN BLAKEMORE、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年4月18日付記事を再構成]

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